マーガリンとキノコ雲

作者 人形使い

貴方の目に、何色の空が見えますか?

  • ★★★ Excellent!!!

 タイトルとキャッチコピーを見た時、とても重い話なのだと直感的に思いました。キノコ雲と聞いて、日本人がイメージできるものに、明るいものなどないはずですから。

 鈍色の空? 黒い雨? その他、全てが灰色か、闇色の世界?

 そんな空気は、一切、この物語にはありません。

 私の心の中に広がった風景は、ただ青い空。雲は……夏の入道雲でしょうか? 秋の鰯雲でしょうか? そのどれであってもいいけれど、空は真っ青でした。

 瓦礫すらもイメージできない文体は、その青空の下にすんなりと誘ってくれました。

 私はきっと、そのパン屋の客だった気がします。何を買ったのか、目の前にあったパンが何だったかは分からないけれど、昼食を会に入った店で、ただ遣り取りを見て、登場人物の優しさや、敢えて言うならば憐れさを感じていた傍観者になった様な気分になっていました。

 読めば皆、空の色を感じると想います。何色であるか、人それぞれに違うだろうと思う点に、作者の素直な気持ちがある、そんな気がします。

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