第112話

今から、離れたら目が見える頃にはみさき先輩は、僕の事を忘れてくれるかもしれない。

そしたら、嫌われる事なく時を過ごせるかもしれない……

それが、先輩の幸せなんだ。


手を繋いだ。

キスまでした。


こんな化け物とそんな事をして幸せで居られるはずがない……


これが、みさき先輩の為なんだ。


そう、全てみさき先輩の為なんだ。


僕は、自分にそう言い聞かせた。


みさき先輩との色んな思い出が頭をよぎった。


あー言うのも悪くないな……


人は、いいな。


あー言うのを何の抵抗もなく何の弊害もなく暮らせる。


僕には、それが羨ましくて仕方がなっかった。



僕も、人の体に生まれたかった。


人だったら母さんに捨てられる事もなかった。

人だったらみさき先輩と恋人になれたかもしれない。


人だったら、人だったら、人だったら……


そう思うと涙が止まらなくなった。

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