第110話
「そうだね……」
先輩は、本当に優しいな……
あ、優しいから僕なんかが相手にされるんだ……
「キスしたんだから、彼方君は私から離れたらダメだよ?」
「うん」
離れたりは、しないよ……
目が見えるようになったら離れるのは、みさき先輩の方だ。
目が見えて僕の醜さが、解ればみさき先輩は離れる。
寂しいけど本当の事なんだ。
だって、僕は……
僕は、化け物だから……
「さぁ、帰ろう……」
みさき先輩は、そう言って僕の前に手を出した。
僕は、ゆっくりとみさき先輩の手を握り締めた。
でも……
それでも、今だけは、みさき先輩の温もりを感じていたい。
先輩は、嬉しそうに笑うと力強く僕の手を握り締めた。
「目が見えるようになっても、友達でいてね」
「うん」
みさき先輩が、僕を受け入れてくれるのなら僕は何にだってなる。
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