58.干渉恐怖
見通しのまずい交差点から
悪い予感の陽炎が
一重ならず次に来る
現在として
脳の襞に空想の霜を無数に
結ぶ頭重のために空気質の
壁が鼻先に突きつけられて
もう一歩として踏み出せない
しでかした
事の交錯はおしなべて悪しく
アクシデントとなる
引き換えそうとして返した踵が
すり減らした靴底はともかく
擦り合わせたアスファルトに
傷を残したことは20年後の
子供たちを転ばせる遠因となるなら
うかつな判断を退けなくてはいけなかったが
そうこうするうちにも秒針は左腕で走る理不尽に
耐えかねて切り落とそうとして
我が身に突き当たる
ヒトひとりを占めることは
ヒトひとり分の資源を奪うことを外れない
そしてこうしてひとりのヒトであることは
あり得た表現型の半数を不可能にしている
「急いで自殺を図るべき」との声とともに
あってしまったことは争えず
資源をここまで運んである以上
この存在はその後の世界にも記録され続け
20年後の子供たちに関与する
ともに
仮にそのはじめからこの肉体が形成されていないとして
いないことによって形成される世界は
いることと同等にその不在によって
世界に干渉してしまう
それはやはり20年後の子供たちに影響するのだ
とすれば
見通しのまずい交差点を目前に
私にどんな遁走も叶わない
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