12.月夜
眠っていると
まぶたを青い光がさして
眠りを払われた
それは痛いくらいにさしてくる
まぶたをあげると
山小屋は消灯していた
ほの青く柱が照らしだされていた
光の方向に視線をやると
小さな窓のなか
月が煌々と光を発散していた
純水のように明瞭な輪郭
なにひとつ音をたてるものはなかった
澄みすぎた夜に
生き物は棲めない
美しい月
美しい月光
周囲の星も砂のように光っていた
美しい無音の夜
その美しさを見ることはできない
ぞっとするほど細い無限のながさの
張り詰めた弦がある
この感銘は恐怖に似ていた
毛布で光を遮って
もう一度眠った
朝は雲が空を覆って
雨が降りだしそうだった
ゆうべの月は夢に違いない
あんなに静寂な夜があるものか
朝食をとっていると
近くに座った団体が
ゆうべの月のことを話している
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