権利に付いて

 さて、次も前回放送後に届いたお便りです。ペンネーム 大臣 さんからのお便り。作品を紹介しちゃおうかな? 最近『カクカク』ばかりで読んでないなぁ。すまぬ。https://kakuyomu.jp/works/1177354054887575911


『ううむ、難しいですね。


権利は正しく扱われるべきですけど、濫用はいけませんからね。


持ってしまったハンディキャップを、優遇によって同等にしようとする。それで環境的にはやっと平等になるみたいな理屈なんでしょうか。


うまい解決策はないのですかね』


 実は京丁椎の親父の叔母が体が悪くて、病院へ行くのに車で行ってたんですよ。今はどうなっているか知らないのですが、その当時は自動車を買う時に病人の送り迎えが必要な家は何かの税金免除か減免されたみたいです。送り迎えに便利で雪道で走れるセダン(レオーネ4WD)を買ってたんですが、そう言う優遇は有りかなって感じはします。


 「京丁椎、このクルマは雪の日でも朝一番に病院に行って受付できるんやぞ。クーラーもヒーターも付いてて快適やぞ」って親父の叔父が大喜びで幼き日の京丁椎に言ったのを覚えています。ドロドロとした排気音と向こうが見えるほど高い車高の妙なセダンだったなぁ。その頃は今みたいに四輪駆動は普及していなくて、叔父さんはジムニーで叔母さんを病院に送り迎えしてたんですよ。でもだんだん症状が重くなって乗り心地の悪いジムニーでの移動は厳しくなったそうで、「嫁が楽に乗れる」って大喜びで買ったそうです。


 ジムニーの名誉の為に言っておきますが、レオーネの前に叔父さんが乗ってたのはSJ一〇型ジムニーでエアコン無しでした。


 ところがね、この制度を使って高級車や送迎に向かない車を買っていた人が居たみたい。どんな制度でも抜け道と言うか悪用する人は居るし、京丁椎が乗っていたバスだって悪用して自分の天下り先の確保や選挙の票集めに使っていた人も居たくらいだ。世の中は何にしろ抜け道を使ったり悪用をする者は居る。


 前に『城にエレベーターを』みたいな話を取り上げたけど、「天守閣に登りたい」と言うのは権利なんだけど、復元する城にエレベーターを付けろと言うのは権利の乱用になるのではないかと思う。


 ハンデキャップを持った人が困らない様に、普通に暮らせる様にサポートするのが平等なんだと思う。この『普通に暮らせる』ってのが重要で、決して贅沢する為じゃないと思う。平等な生活を送る所までは補助して、そこから贅沢をしたいなら自力でって思うんだけど、そのさじ加減が難しい訳ですよ。


 とくに思うのは車椅子マークを付けた高級セダンや高級ミニバンを若いアンちゃんが乗っているのを見た時かな。「そのローダウンやインチアップは介護のためかい? じゃあエアロは何で?」って言ってやりたいね。言わんけどな、あいつ等怖いから。いろんな意味で。


 そんな訳で、上手い解決法は無いと思います。性善説で作られたルールは厚かましい人は守ろうとしないし、注意した所で聞きはしないでしょう。じゃあ、ギチギチに規則を固めたらどうなるかと言えば、やはりキチンと守る人ばかりが損をする事になるんじゃないかなあって気がします。所詮人間は色と欲で動くもんだからね。


 以上、全て京丁椎の個人的見解でした。

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