つっこみ所満載ながらも、私と彼は生まれた瞬間から婚約者同士だった。
女の子なら、誰だって、王子様を夢見ている時期があると思う。
少女漫画や恋愛ドラマに胸をときめかせて、いつか私のもとにも王子様が迎えに来てくれるんじゃないかってひそかに心を波打たせる。でも、歳を重ねるにつれて、そんなことは現実には起こらないんだと知る。大抵の人は、そうやって大人になっていく。
でも、私、野崎 莉子の人生は違った。
物心ついた頃には、既に、漫画の中から抜け出てきたみたいな王子様と婚約者として生きることが決まっていたからだ。
*この作品は小説家になろう・アルファポリスにも掲載中です。