第百九話
/*** カズト・ツクモ Side ***/
ユーバシャール街からの使者は、
近いのは、間違いなくアンクラムだ。そこを避けて、サラトガにむかうあたりに悪意を感じる。石壁が急にできたりしてびっくりして使者を出したのなら、石壁に駐留している者に接触を試みればいい。
それをしないで、サラトガで”代表”に会わせろとしているあたりに、何か意図的な匂いと俺たちを甘く見ている感じがする。
対応を協議する為に、行政区に主要な面子が集められている。
「ツクモ様」
ミュルダ老だが、”代表”に会いたいというのだから、ミュルダ老でいいだろうと考えている。
「ミュルダ老が代表だよな?」
「え?」「え?」「え?」「なっ!」
え?違うの?
シュナイダー老とリヒャルトと、ヨーンと、ミュルダ老の顔を見る。
「ツクモ様?」
「え?おれ?代表なんてやっていないよ?」
「は?」「は?」「は?」「え?」
これも違うの?
皆、俺が代表だと思っていたのか?
今日も俺に付いているシロが当然という表情でうなずいている。シロは、今日は俺の横に座っている。少し離れた位置で何時でも剣を抜ける距離に居る。会議室に行くという事もあるので、今日は野暮ったい格好ではなく、女性らしい格好をしているが、俺が暗器の事を思い出して聞いてみたら興味を持ったのがシロだった。フラビアとリカルダも興味を持ったが、フラビアとリカルダは明らかに武器を携帯している事を見せつけるほうがいいだろうという事になった。シロは、ドレス風な服を着る事も有るために、暗器を仕込むようにしている。
「ツクモ様。居住区を作られたのは?」
「ヨーンたちの為に住む場所が必要だろう?」
「ツクモ様。この行政区や商業区や自由区を作られたのは?」
「え?交易する場所が必要だろう。ブルーフォレスト内まで来てもらうのは面倒だからな」
「SAやPAを作るように指示されたのは?」
「馬車で移動のときに、疲れるだろう?」
「そういう事です。ツクモ様。儂は、ペネム街の”代官”です。他の者たちも同じ様に答えると思います」
う・・・確かに、任命式のときに書かれていた事を読んだだけだけど、”任命”なんだよな。たしかに”代官”に任命しているよな。
それだと俺が代表という事になってしまうのか?
今日は、隣に座っているシロが口を開く。
「私の立場で言える事ではありませんが、よろしいですか?」
最初に発言する事の許しを得てきた。
ミュルダ老やシュナイダー老やヨーンやクリス達には、シロとフラビアとリカルダとギュアンとフリーゼの事は話している。本人たちも、隠したくないという事だ。主要メンバーにも、思う事は有ったとは思うが、シロたちを受け入れてくれた。
4名がうなずく
「ありがとうございます」
シロは一度頭を深々と下げてから話し始めた。
どうやら、俺が代表だと言うのは、シロの中でも確定事項のようだ。
その上で、ユーバシャール街からの使者には、俺以外が出たほうがいいだろうという事だ。
1番の理由は安全の為だ。使者がいきなり襲いかかってくる事を想定したら、俺ではなく別の人間が出るほうが好ましいのではないかという事だ。
そして、俺の方を見て・・・なぜか、笑顔になったシロが続けた言葉が皆を納得させた。
「カズト様は、まだ14歳。たしか、クリス殿の話しではもうすぐ15歳という事だが、正直12~3歳でも信じてしまう見た目をされている。私たちはカズト様以外の代表はいないと考えていますが、初めてお会いした者たちが信じるとは思えない上に舐められないか心配なのです」
「確かに」
おい、リシャルト
「そうじゃな」
シュナイダー老もおかしくないか?
「そうですな」
ヨーン。お前たちまで
「もっともな話だ」
とどめはミュルダ老。お前たち、その俺に嫁やら愛人やら側室やらを押し込めようとしていたのを忘れたのか?
結局、シロの言葉が決め手となって、俺が納得できない事は棚上げして、会議は進むことになった。
対応方法として意見は3つでた。
俺にスキル変体を使って、見た目を変更する案
俺が代表としてですが、シロとフラビアとリカルダとクリスとリーリアとカトリナを着飾って侍らかすのと、スーンたちを完全武装で控えさせる。圧迫会談というわけだ。
最後に皆が押した案として、”影武者を用意する”という案だ。
影武者として、ルートガーたちが呼ばれたが、クリスの反対と本人たちの言葉として”荷が勝ちすぎる”という事だった。俺としても、影武者を置くのなら、もっと別の人間の方がいいと思っている。
影武者か・・
「なぁ。実験区から適当な奴を引っ張ってきて、名前を”ダイヒョウ・フォン・ペネム”なんて感じに変更して、その使者に『この者が、”ダイヒョウ”です』って会わせるのはダメか?」
あっダメですね。わかっていますよ。
言ってみただけだ。ミュルダ老たちはそうだろうけど、シロまで俺を可哀想な子を見るような目で見るなよ。
それでも、ミュルダ老は反応してくれるようだ
「ツクモ様。即戦闘ならば、その対応で良いかも知れません。どうしますか?私たちは、それでも良いと思っています。エリン様にご助力をお願いする事になりますが、ヨーン殿配下の獣人部隊でヒルマウンテン越えを行えば犠牲少なく占拠できますが?」
あっそうか、バカにされたと思われたら即戦闘開始か・・・俺も別にそれでもいいけど、犠牲が出てしまうだろうし、準備が整っていないからな。今は却下だな。
「すまん。忘れてくれ」
「はい。ツクモ様」
そうだ!
「スーン。実験区の奴らで心が空っぽになった奴が居るよな?」
部屋の隅に控えていたスーンに話しかける。
「はい。沢山ではありませんが、確かに存在しております」
「中肉中背で、このあたりの人物には見えない奴で、年齢的に若い奴は居るか?できれば、スキル操作が効きやすい奴がいい」
スーンは、少し考えている。
多分、実験区を管理している者に問い合わせをしているのだろう。スーンの強みは
「大主様。4匹ほど居るようです」
「そうか、1番若い奴の年齢は?」
「あっ申し訳ございません。大主様が御自ら操作するとしたら、1匹だけになります。他3匹は雌です」
「そうか、年齢は?」
「雄が27歳。雌が25歳が二匹と23歳が1匹です」
ちょうどいいな。
ミュルダ老とシュナイダー老とリヒャルトとヨーンは、俺がやりたい事がわかったようだ。
1人シロだけがわからないようだ
「わかった。どうだろう?リヒャルト?」
「よいお考えだと思います」
「ヨーン?」
「リヒャルト殿と同じだな。でもな、獣人の長として俺も会談には参加したい」
「シュナイダー老?」
「安全ですし、スキル操作で姿形も調整されるのでしょう。儂も賛成じゃな。ヨーンたちの列席も賛成じゃ。謁見の間で行われるのなら、片側をスーン殿達に固めてもらって、反対側を獣人族が固めるのはどうじゃ?」
「ミュルダ老?」
「ツクモ様。儂も賛成じゃ。シュナイダー殿の意見で良いと思うぞ」
皆が賛成してくれた。
スキル操作で、実験区に居る者を再利用する事にした。
心がはっきりしている者を、操作で操るのは実は難しい。誘導する事しかできないのだ、しかし、心が壊れて意識もはっきりしないような者だと、操作をする事が容易になる。その上、操作をする時に感覚同調ができるのだ。ただ、注意しなければならないのは、感覚が同調しているときに、意識の残滓という物なのかわからないが、時折意識が流れ込んで来る事がある。
スキル記憶で記憶は抜いたとしても、生きている人間なので、動物的な衝動が残されている。どちらかと言うと、そういう感覚が強くなる傾向がある。その事だけは注意する必要があるが、それだけに注意すれば問題は少ない。器として使い勝手がいいのだ。
男性は俺が操作する事に決まった。影武者として使う事になる。どこまで情報が出回っているかわからないけど、15~6歳に見えるように調整を行う事になった。
女性は、最初はリーリアに操作させようかと思ったが、スーンとヨーンに反対された。
「大主様。リーリアでも操作は大丈夫だとは思いますが、お止めになったほうがよろしいかと思います」
「??」
「そうだな。俺も、リーリア殿やクリス嬢は止めたほうがいいと思うな」
「なぜだ?」
「あぁ俺がこんな事を言った事は内緒で頼むな。殺されたくないからな」
ヨーンが語った事はもっともな話だった。
リーリアにしろ、クリスにしろ、俺への感謝や忠誠心が臨界突破しているから、たとえ影武者であっても、俺が下に見られただけで、激高して使者を殺しかねないという事だ。
操作している身体だから、それほどの戦闘力はないとは思うが、スキルは普通に使える事も確認してあるので、万が一のときに対処ができないと困ってしまう。
そうなると、女性の操作は・・・。
皆の視線が、シロに注がれる?
シロもそれに気がついたのだろう?指で自分を指して皆に確認している。
俺も、リーリアやクリスがダメとなると、シロが適任だと思う。ただ、3人全員の操作は経験が無いと難しい上に、リーリアから聞いた話では、視覚が全部がかぶるようになるので操作にはコツが居るという事を聞いている。
話し合いの結果、シロが1番若い女性を操作して、残り二人をフラビアとリカルダが操作する事になった。二人の意思は確認していないが、シロがない胸を叩いて”大丈夫。僕が説得する”と重要な役割を任されたので、高揚しているのか、口調が俺とだけと接しているような状態になってしまっている。
今日の会議はここでバラす事になった。
スーンとシロは会議室に残っている。
影武者の到着と、フラビアとリカルダの到着を待つことになった。
先に到着したのは、フラビアとリカルダだ。
今日は、クリスの従者やギュアンとフリーゼに算術を教えていたようだ。そこに呼び出しがかかったという格好だ。
「ツクモ様。姫様。お呼びと伺いましたが?」
「フラビアもリカルダも悪いな。どこまで話を聞いているのかわからないけど、今サラトガにユーバシャール街の使者が来ているのは聞いているか?」
二人がうなずく
「その使者に会うときに、俺の影武者を用意する事になった。その時に、シロとフラビアとリカルダにも影武者を操作して参加して欲しい」
抵抗するかと思った二人だったが、すぐに承諾してくれた。
大筋の流れと今後の対応を協議しているときに、スーンがエントとドリュアスを連れて戻ってきた。
男女を連れている事から、コイツらが操作対象なのだろう。
汚れが酷かった事や、身体のチェックをしていて遅れてしまったという事だ。
シロたちはもちろん操作のスキルは持っていない。これから使者に会う時に同じ様な事をする可能性がある。固定化した方がいいか?
「シロ。フラビア。リカルダ。お前たちのステータスを見るけどいいか?」
「え?」「はい」「構いません」
「シロ?”え?”ってどういう事だ?」
「カズト様ならもう僕のステータスを見ていたと思っていただけ」
「はぁ?見てないぞ?女性のステータスを無断で見るなんてダメだろう?」
なぜか、3人が微妙な雰囲気で顔を見合っている。何か不思議な事を言ったか?
個人情報を除くなんて事はやってはダメだろう?
「ツクモ様。話が進まないので、問題ないです。今度ゆっくりとお話をしましょう」
フラビアの笑顔が怖い。
俺が間違っていたのか?
まぁ3人の許可も取れたので、確認しておこう。
// 名前:シロ・ヴェネッサ・ヴェサージュ
// 種族:ヒト族
// 性別:女
// 年齢:16歳
// 固有スキル:信仰
// スキル枠:
// スキル枠:
// スキル枠:
// スキル枠:
// スキル枠:
// スキル枠:
// 体力:D
// 魔力:E+
// 名前:フラビア・フラミュール・ラ・ファイエット
// 種族:ヒト族
// 性別:女
// 年齢:23歳
// スキル枠:
// スキル枠:
// スキル枠:
// スキル枠:
// スキル枠:
// 体力:C
// 魔力:F
// 名前:リカルダ・リカティエ・ラ・エルヴィール
// 種族:ヒト族
// 性別:女
// 年齢:24歳
// スキル枠:
// スキル枠:
// スキル枠:
// スキル枠:
// スキル枠:
// スキル枠:
// スキル枠:
// 体力:E
// 魔力:D
「おっリカルダ。誕生日過ぎたのか?」
「え?あっ・・・そうですね」
「おめでとう。何か、プレゼントしないとな」
「やめて下さい・・・ツクモ様24にもなって・・・」
「そうか?リカルダは綺麗だしまだまだこれからだろう?そうだ!今度作る石鹸・・・髪の毛を洗う物だけど、試してみるか?」
「!!よろしいのですか?」
「あぁ誕生日プレゼントというわけではないが、俺で試したけど、問題なかったからな。リカルダも試してみてくれないか?」
「はい!!!!」
なぜか、フラビアやシロからジト目で見られる。
この話題はヤバそうだ。
「シロ。フラビア。リカルダ。スキル枠が空いているけど何もしなかったのか?」
あっスキル枠の事を話していなかった!まぁもういいか・・・馴染んでいるし、俺たちも受け入れたし、彼女たちもここでの生活を楽しんでいる。それに・・・いややめておこう。フラビアとリカルダの個人的な事だからな。
想像通り、リカルダからスキル枠の説明を求められた。
今まで何度か説明してきたことを3人に聞かせた。
納得した所で、シロに問いかけた。
「シロ。信仰といスキルが有るけど、これは、固有スキルなのか?」
「あっはい。スキル信仰は・・・」「あぁいい。今度説明してくれ」「・・・わかりました」
なぜかシュンとなっている。捨てられた子犬のような雰囲気は出さないで欲しい。
「さて、シロ。フラビア。リカルダ。俺が、魔核にスキルを固定したのを見たことがあるよな?」
3人がうなずく。
「バトルホースにしていたような事ですか?」
「あぁバトルホースだけじゃなくて、リーリアもオリヴィエもクリスもエリンも同じ様に必要なスキルを固定した」
「「「!!」」」
「今から、お前たちにもスキルを固定したいと思うが問題ないか?」
「「「!!」」」
3人とも問題無いようだ。むしろやってほしいということだ。
魔力の観点から、操作のスキルは固定できない事がわかっているが、有益なスキルは付けておいても困らないだろう。
レベル7魔核に、スキル操作を固定した物をもたせるしても、使えるようになるスキルが増えるのは重要なことだろう。
話し合いの結果、念話と収納と結界は全員に付与する。
清掃と体調管理は、3人ともイヤーカフスを使っている。
シロは、”鑑定”と”治療”と”眷属化”が欲しいという事だ。
フラビアは、体力向上と攻撃力向上を望んだが、これは武器に付与したりした方がいいので、却下して変わりに”睡眠”と”拘束”を付ける事になった。
リカルダは、魔力がDと高い事もあり、”地図”と”索敵”と”探索”と”遠見”を付ける事を希望してきた。バランスを考えてのことだろう。
スーンに、スキルカードの在庫を確認したら問題ないという事なので、それぞれを固定した。
うーん。やってしまった感があるがまぁいいだろう。
これでも対処できなくなったわけでは無いだろうからな。
レベル7魔核にスキル操作とスキル変体を固定した物を4つ作ってそれぞれが持つ事にした。
魔核が大きくてイヤーカフスに収まらないので、3人には別口で腕輪を作った。なぜか、シロだけはカイやウミがしている首輪を望んだが、なんとなく奴隷にしているようで嫌だったので・・・適当な言い訳を付けて却下した。
「カズト様。僕、カイ様やウミ様がしているような首輪がいいです(カズト様の所有物になれたみたいで・・・)ダメですか?」
「・・・シロ。首輪でもいいけど、せっかく綺麗な首やうなじが見られないのは寂しいから却下だ」
これで、シロは首輪じゃなくて、腕輪や足輪でいいと言ってきた。
助かった・・・と思いたい。
その後は、実験区の男女を操作する練習をした。
よく見ていなかった俺が悪かったのだが、スーン達につれてこられた者たちは、タオル状の物をかけられている状態だった。
床に寝かされてタオルをかけられている状態だ。
皆が操作対象に向かってスキルを発動した。操作は問題なくできた。
意識同調もできたようだ。
立ち上がって・・・重大な事に気がついた。
俺たちは全裸だったのだ。当然だよな。実験区では男女別々にして服や下着も支給していないからな。
自分の身体ではないが、操作対象が裸で立っている。
お互いにまじまじと見えてしまう距離だ。そして、悪い事に、俺たちは向き合っている。俺の意思とは関係なく一部が大きくなっていく。生理現象だと言っておきたい。シロが操作している女性がまじまじと大きくなった箇所を見ている。
フラビアとリカルダはわかっているのだろう見ないふりをしてくれている。
いたたまれない空気の中・・・時間だけが過ぎていく。
シロがやっと理解が追いついたのだろう。
自分の姿を確認する。操作している対象の姿だが、恥ずかしいのだろう、座り込んでしまった。
さて、ここで問題だ。俺の操作している男性の身長は175cm位だ。それが立ち上がっている。シロの操作している女性は160cmより少し低い位だろう。その二人が正面を向き合っている。その状況から、女性が座った場合にどうなるのでしょう・・・。
シロが叫ぶ事になった
「カズト様。早く服を着て下さい!!!」
操作している女性で器用に叫んだシロの言葉で、皆が動き出した。
スーンが用意していた下着と服を身につける。シロたちもだ。
操作の感覚が一気に理解できてしまった。
まだシロは何かブツブツ言っているが聞こえないフリをして話を進める。
次は、変体スキルを使う。
自分の本体?に似すぎない範囲で且つ別人になるように調整をおこなっていく。
操作するのに慣れていないので、実際の身体と意識を交互に切り替えながらやってみた。
本番は、謁見の間での会談になるので、本体は隣室で控えてる事になるだろう。まずは、それを目標にやってみる事にした。本体は。ウミと眷属に守らせればいいだろう。
影武者ができた。
あとは、操作に慣れれば問題は無いだろう。
「ツクモ様」
フラビアが何か提案が有るようだ
「フラビア・・・だったよな?何か?」
「はい。フラビアです。操作の感覚になれる必要があると思いますが、ツクモ様は姫様を見て頂けないでしょうか?」
「ん?いいけど?どうして?」
フラビアは、リカルダの方を見る。
確かに、リカルダはしばらく掛かりそうだ。
「わかった。使者がしびれを切らすまで暫く時間があると思う。家で休んでくれ」
「ありがとうございます。それで、ツクモ様・・・姫様は・・・」
「わかった。ログハウスで預かろう」
「ありがとうございます!」
さすがに洞窟につれていくつもりはないが、ログハウスに備え付けた寝室に寝かせる位ならいいだろう?
スーンを見ると問題ないような雰囲気がある。
「シロもいいよな?」
「はい!」
一度、操作を切ってから、場所を移動する事にした。
自分の身体は、俺とシロはログハウスに、フラビアとリカルダは自分たちの家に置いてからエントたちに連れられてきたスキル変体で調整した身体に意識を移して暫く活動する事にした。
ん?結局遠隔での操作だよな?
わざわざシロの身体をログハウスで預かる必要はないよな?それに、疑問にも思わないで流されてしまったが、ログハウスの同じ寝室に寝かせる必要はないよな?エントとドリュアスが身体の世話をしてくれると言っていたが、それも必要ないよな?戻ればいいだけだよな?
いろいろ流された事を反省したが、横に居る俺と身長を合わせたシロ(偽)が嬉しそうにしているので、シロが気にしていないようだし、楽しそうだから問題ないかという気分になって流していた。
そんな事をしていた二日後。
調査を頼んでいた者たちからユーバシャールに関する調査が届けられた。
同時に、サラトガに来ていた者たちがしびれを切らせて、”ミュルダ区”に向かったと報告が上がってきた。時間稼ぎにちょうどよかったので、そのままにしておいた。ミュルダ区で、ペネム街で”代表”が待つと伝える事になった。
返事を待たないで、待機場所を変える様な使者は使えないだろうと判断している。
事実報告書では、面白い事が書かれていた。
俺の全権代理者として、ミュルダ老とリヒャルトとヨーンとリーリアとクリスとルートガーとエリン・・・それに、イリーガル種のエントとドリュアスを武装させて、ユーバシャールにアンクラム経由で使者として行ってもらおう。
こっちは、来ている使者をのらりくらりと引き伸ばして遊びながら対応していれば大丈夫そうで気持ちに余裕が産まれてきた。
どうやってからかってやろうと思い始めている。
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