第96話 ご両親に会う

 同棲生活も一年たった頃、彼の実家に行く事になった。


 印象としては……いい人たち過ぎて申し訳なくぐらいだった。


 彼はお母さんの話は少しだけしていたのだけど、そこから想像していたのとは違ってとても可愛らしい方だった。

 年上の方に「可愛い」という言い方は失礼なのかもしれないが、彼に対する話しかけ方とかキュートなのだ。


 お父さんに関しては、彼からの情報は全くなかったので仲が悪いのかとか、実はお母さんの再婚相手なのでは?とか勝手に想像して気を使っていたが、そんな事はなく、実のお父さんだった。


 そして実際に彼とお父さんが話しているところを見ていても、仲が悪そうな雰囲気も無い。たまたま私に何か話すような事が無かっただけなのだろう。


 明るくて、理解があっておちゃめな優しい感じのお父さんだった。


 彼はお母さん似かな?と想像してたんだけど外見はお父さん似で、性格はお母さん似という感じがした。


 彼はカッコいいし、たまに機嫌悪くする時以外は優しいしご両親にとっても自慢の息子だろうなって思ってたから、どこの馬の骨と分からない、しかも大デブのアラフォー女がきてと思われても仕方が無いと覚悟していたが、そんな事はなかった。


 それどころか、彼に対して


「良かったね、良かったね」


 と彼女が出来たことを喜ぶことばかり言っていた。


 太ってることも、彼は気にしてたからどうなんだろうと思っていたらお母さんが


「ぽちゃぽちゃして気持ちよさそう。触らせて」


 と腕を触ってくれたぐらいだった。


 彼も私と暮らしてから太ったようで


「ちょうどいい感じになってきた、良かった」


 と言われていた。確かに前は痩せ気味だったかもしれない。


 ご両親が彼に「太ったね」という言い方も、私と暮らしてデブになったなぁという感じの言われ方では無く、前は痩せすぎだったのがイイ感じの体型になってきたじゃないか。


 という言い方だったのもありがたかった。




 ※いつも1日一回更新が多いですが、連休ですしこの後も更新予定です。

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