同棲時代
第91話 仮同棲
仮同棲を始める前に、仕事の都合で長く休みが取れた彼は私の家に泊まりにきた。
うちはもちろん親と一緒に住んでいるわけで、そんなところに泊まりにくるのだからもしや、「娘さんをください」的なやつを言ってくれるの?とちょっぴり期待したが特にそういう事は無かった。
1〜2年前だろうか、一夫さんが泊まりに来たいと言った時にはターロが渋り、無しになったがタクヤくんが泊まりに来るとなった時は普通にOKが出た。
タクヤくんは大人しく、積極的にうちの親と話すタイプでは無いが、両親共にタクヤくんを気に入ったようだった。
特に母は痩せマッチョでイケメンのところを高く評価したみたいで、かなり気に入ったようだった。
でも別に私たちは付き合っている者同士という感じではなく、友達という感じが強いままだ。
そういった事があってから2ヶ月後ぐらいに、私は彼と横浜の彼の会社が用意してくれたアパートで仮同棲を始めた。
仮同棲なので住民票などは移さず、数日一緒に過ごしてその後はまた実家に少し戻ってまた彼の元に行く、という生活だ。
彼も自分の本来の部屋は残したままなので、その部屋には物が殆どない状態で、高い家具や家電製品は買えないので彼が一時的に持ってきた物と近くの100円ショップで買ったものとで暮らした。
ママゴトのようでもあったが、何だかやっと私の念願が叶ったような気分だった。
実家と彼の部屋を行ったり来たりする生活が半年ほど続いた頃、私の希望で二人の部屋を借りるという話になった。
そして今度は本格的に一緒に住むのだ。
横浜の家は場所も部屋も問題なく良かったが、会社が借りてくれているものでその場所での仕事が終われば将来的に出ていかなければならない。
彼の本宅は、私が一人座れるスペースしかないワンルーム。
広い部屋ならまだしも、ワンルームに二人で住むのは狭くて不便な上に不動産契約的に違反の場合もある。
なので私は安心して快適に住める、二人の場所が欲しかったのだ。
ところが部屋探しは簡単には行かず、ケンカをしながらお互いの妥協点を探るという状態だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます