第90話 さようならアキラさん
恋愛の話に戻りましょう。
タクヤくんから振られたと思った時に受けたショックの大きさで、私は彼への自分の強い気持ちを認識しました。
フラれていなかったのなら、もう二度と彼を失いたくないと私は彼の元に行く事にした。
そして本格的に行く前に、まずは数日泊まりに行ってみようと彼のワンルームマンションを訪れた。
仕事が忙しい男性の一人暮らしのワンルームは私一人が座れるスペースもギリギリだったけれど、キチンと片付けられている人よりは私は安心できた。私が片付けられない女だから。
でも、その部屋で二人で暮らすのは現実的ではないと認識。
いきなり二人で住むところに引っ越すにはお金もかかるし、お試し同棲にはリスクが高い。
そう思っていた矢先、彼が仕事の都合で横浜に仮住まう事になった。
そのためのアパートは会社が用意してくれたのだが、綺麗なワンルームでここならお試しで一緒に過ごせるかもと仮同棲をする事になったのだ。
そして実は私に、タクヤくんの元に行かせる原動力を与えたのはアキラさんに更に完全に振られた事でもあった。
タクヤくんと付き合ってるくせに何言ってんだと思われるかもしれないが、私の心の片隅にはまだアキラさんがいた。
アキラさんは遊び人で、特定の彼女を作らず気ままに過ごしていた。
近くに住んでいたから、よく遊んだし私としては私と付き合ってくれなくても、誰かのものにならないのだったら、それでいいと思っていた。
だけどある日、アキラさんから報告事を受けたのだ。
「本気で好きになった女性が出来て、その人と付き合う事になった。けれどその女性は、自分以外の女性は女友達でもさよならしてきてほしいと、だからピューレラちゃんと知り合う前から仲が良かった女友達がいたんだけれど、その彼女とも離れる事にした、仕方ないよね、聞いてくれてありがとう」と。
それを聞いた私は大きなショックを受けた。
アキラさんに本気の彼女が出来た事もだが、それ以上に私は彼の女友達ですらなかったのかと。
(私は彼からさよならを告げられなかったから、彼女さんに嫉妬される女友達ほどでも無いのだと)
なんだ、私はアキラさんにとってその程度の人間だったんだ。
これで私は目が覚めたというか、少し残っていた彼への想いは断ち切ってタクヤくんだけを想うことにしたのだ。
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