第66話 ウブなあの子

私と修造くんは、男性未経験な事を嘆いている女性の掲示板で出会った。


私はたまたま見かけて、その掲示板の主に

「気にすることないよ」という事を伝えたが

修造くんは、男性未経験の女性を他の人より気にしてしまうところがある。


彼曰く、外見が良く学歴もいいのに

(自分で言う?と思うが事実だから仕方がない)

女性にフラれてばかりだった頃があり、それがトラウマになっている。


だから、男性未経験で嘆いている女性に昔の自分を重ねてしまって

放っておけない。と言うのだ。


しかもそれが若い子ではなく30まぎわだったり、それ以上だったりで

いわゆるバージンな事を気にしている女性だと

もう異様に親身になりたがるのだ。


これだけ聞くと、彼のそういう性癖なのだと思われるかもしれないが

彼としては本当に真剣に相手の女性を慰めたり元気付けたいと思っているようなのだ。


メル友時代から、彼のそういうところを色々話を聞いて知っていたので

私は彼を分かっていた。

なので、雪子が男性未経験である事を彼が知ってしまったら

雪子と多く話したがるのは目に見えていた。

それでも、彼を分かっていたからこそ信じていた。


彼が高齢バージンが気になるのは性癖ではなく

昔の自分の傷を癒すために、そういう女性と前向きな会話をしたいだけなのだと。


私は雪子に、彼とどんな話をしたのか探りを入れた。

そうしたら、何の話でそうなったのか

やはり男性未経験であるかどうかを聞かれたようだった。


だけどそれ以上に私が気になったのは

雪子の性的知識だ。


田舎(愛知県の某市のみなさん、ごめんさい)の真面目な女性である雪子は

中学生より性知識が無い。


「赤ちゃんはコウノトリが運んでくるもの」


ぐらい幼い知識しか無いという事が分かったのだ。


まぁね、確かに真面目で、スクールカースト最下層の友達ばかりで

親もそういう事を濁す昔気質の人だったら

彼女が30前になっても何も知らない状態であっても

そんなにおかしな事ではな無いのかもしれない。


でもね、だからこそ私は少し安心したんだ。

修造くんが雪子に未経験がどうの、という話をしたとしても


雪子は「なあにそれ?」ぐらいの反応で

この件の話で修造くんと盛り上がらないだろうし

ましてや、修造くんに誘われたとしても乗らないだろうと思えたのだ。

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