第28話 二年生

二年になって進学クラスになったからか

一気に教科が増えた。

英語なんてリーダー、グラマー、LLとあった。


仲の良かった子たちとは、ほとんどクラスが離れてしまったけれど

一人だけ浅井さんという子と同じクラスになる事が出来た。


私は一年の時から中間テストや期末テストで

クラス順位が二番だったんだけど

いつも一番だったのが浅井さんだ。


一年の時は友達の友達、みたいな間柄だったのが

二年になってからお互いに急速接近となり、彼女とは今もなお友達だ。


浅井さんはクラスだけでなく、学年でもトップ5に入る成績の良さだったが

特に勉強してる!という感じではなく、他の子同様

高校入試の時に、行けそうな学校があまり無いと言われてこの学校を選んだらしい。


いやいや、おかしいでしょう。

うちのクラスだけでなく、学年でも上位という事は

特進クラスにも対抗出来る学力という事だ。


特進クラスは有名国公立や私立大を目指すクラスなので

そのクラスのほとんどの生徒より順位が上なのに、他に入れる高校が無かったわけがない。

彼女は嘘をつくようなタイプでは無かったので

当時の担任の先生がおバカだったのでは無いかと思えてくる。


でもまぁ、そのおかげで浅井さんと出会えたわけだから

私としては良かったんだけどね。



二年生になった私は、ある人に恋をしていた。


と言ってもかなり年上の人に。

それは古文の先生だった。


変わった先生で、黒板にはたまにしか文字を書かず

ほとんどは喋る授業をする。なので真剣に食いつき気味で聞かないと

ノートをまとめる事が出来ない。



この先生の授業ノートを真面目に取っていたのはクラスでも数人だけ。

その一人が私だった。


古文の授業だけではなく、家族の事や考え方なども話してくれる先生で

奥さんの事を「ワイフ」と呼んでいるというところに

田舎の女子高生の私は驚いた。


そしてどんどん惹かれていった。

その還暦を過ぎている、おじいさん先生に……。

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