女帝の後宮

作者 鳩子

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39人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

 読み終わった今、心地良い痺れが私の心を満たしています。
 痺れの正体は何か…… それを答えられないことが、とても残念です。
 タグにある通り、ミステリー要素を合わせ持つ中華ファンタジーです。
 そうです、だから色々と語ることが出来ないのです……
 この物語は、「女」しかいないはずの後宮で、ありえないことに「女帝」が妊娠し、その父親が誰なのか、書記官である汪金令へ調査が命じられることから始まります。
 汪金令は、女帝と幼馴染であることからも、その弟の婚約者であったことからも適任だったのです。
 そこまで親しい関係であるなら、すぐにでも真相が分かりそうですけれども、女帝自身、どことなく汪金令へよそよそしいのです……
 汪金令は、後宮で聞き込み調査を始めます。
 ところがそこは、女たちの怨讐うずまく伏魔殿ですから、そう上手くいきません。
 迂闊な一言が身の破滅へと繋がる恐るべき場所だったからです。
 汪金令は、一言が身の危険になりえる後宮で、妃たちと駆け引きをしながら女帝懐妊の真相を探るのです。
 物語は女帝だけでなく、その周辺の女性たちの生き様にもふれていきます。
 その中には、汪金令のことや、死んでしまった婚約者のことも……
 そのことも、この物語を読む楽しみでした。
 もう一つ挙げるなら、汪金令はいつも饅頭を食べ損ねるのです。
 果たして、汪金令は饅頭を食べれるのか? そういったことも楽しみの一つでした。
 ああ…… みなさんにお伝えしたいです。
 この身を震わせんとするほどの、心の痺れを…… この物語がミステリーでなければ、そうすることに誰も咎めないでしょうに……
 良い物語を書いて下さり、感謝しています。
 ありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

おそらく西洋の歴史文学では良質なポップ・ミュージックのように洗練された展開のものもあるのでしょうけれども、それを東洋ベースの小説で実現しておられることが驚きです。ストーリーの伏線の緻密さや重厚さもさることながら、恋愛のディテールの描写が現代の10代よりもキュートでお洒落な印象を受けました。
こういう言い方はもしかしたら失礼に当たるの かもしれませんけれども、『お洒落のアイテムにもなり得る歴史小説』。そんな新しさを感じました。おススメです!

★★★ Excellent!!!

流麗なる文章。美しい中華後宮の情景。そして、女帝の懐妊を巡るミステリー……。なんとも贅沢な面白さがこの作品にはあります。後宮の謎を知りたくて、次、次、と思わずページをめくってしまいました。とにかく一話から読んでいただきたい。必ずあなたを中華後宮の世界へ誘ってくれることでしょう。この作品を読まないなんて、本当にもったいない!

★★★ Excellent!!!

 女だけの後宮で女帝が懐妊という、前代未聞の謎に興味を持ったら最後、続きが気になって気になって、更新が待ち遠しくてしかたがなくなってました。

 その謎を解くように命じられた汪金令が、女帝の懐妊に関わりがありそうな関係者から聞き出していく話や記録が、どうもおかしい。
 普通は証言が集まれば、勘の良い読者でなくとも、全容が見えてくるものです。
 ですが、金令自身も抱えている元婚約者にまつわる謎と整理しきれていない気持ちにも、どんどん引き込まれてしまったせいか、なかなか謎が解けない。
 スッキリさせてくれない謎にモヤモヤしたり、生々しい後宮の話にドキドキしたり、一途すぎて辛い話に切なくなったり、いい意味で翻弄されっぱなしでした。

 そしてたどり着いた顛末は、多くの登場人物の想いや人生が絡み合った結果なのだと思いました。

 後宮モノが苦手な私でも、どっぷりハマってしまったので、苦手な人にもおすすめです!

★★★ Excellent!!!

豪華絢爛で、美しい筆致で書かれたミステリーです。ミステリーといっても、誰かが死ぬ事が物語のきっかけなのではなく、誰かが生まれることが物語のきっかけです。
中華風の朧国という国で、珍事が持ち上がりました。皇帝が、懐妊したというのです。
皇帝は女帝でありますが、数年前に亡くした夫以外、男性の愛人もおらず、男性を閨に招いた事は記録上からもありません。ですが、後宮には、女性の妃嬪が複数名いて、彼女たちの華麗でありながらも寵愛をめぐる凄惨な争い合いが物語を紐解く鍵になっていきます。
表面上はそういう話なのですが、本当はこれ以上ないほどの男女の純愛の話です。
この主要登場人物は全員女で、女性同士のシーンも書かれる百合百合しい作品のどこにそのような要素があるのか、それは実際お読みになってのお楽しみです。
ですが、冷静になって、彼と彼女の行動を省みるに、一人の女性を永遠に愛する/一人の男性を永遠に愛するという、非常に美しい純愛が、実は非常にわがままで、残酷なことなのではないだろうか?とも思えてくるのです。
純愛って、美しいがゆえに……、と思わされるお話でした。
とても素敵な話です。

★★★ Excellent!!!

女帝の後宮ときいて、ついつい男の園かと思えばさにあらず。

女性だらけの後宮で、女帝が懐妊という、もうこれだけでぞくぞくするような一つの謎から物語はスタートします。

その謎を探るように命じられたのは書記官、汪金令。
彼女もまた謎にかかわる過去を持ちながら、後宮内の関係者を一人一人当り、女帝懐妊の謎に迫っていきます。

後宮ミステリーといってもよいのかもしれません。
そして悲しくも切ない恋の物語でもあります。

エンディングをどうとらえるかは読み手にかかっているのでしょうけれど、あえてこれが一つの答えとして、私はこの物語に登場する一人一人に想いを馳せてしまいました。

連載をずっと追う楽しみと、謎をあれこれ一緒に推理していく楽しみ。
そしてところどころに登場する料理もまた、どんなにおいか味かと想像しながら楽しめます。

贅沢な後宮小説を、どうぞご堪能ください。