第434話 変わる写真(2)間違い探し
しかし、続く時は続くものらしい。一週間程で、また、不幸があったという。
「今度は正雀だよ。交通事故らしい。昔から、おっちょこちょいなやつだったからなあ、全く」
父親は、寂しそうに溜め息をついた。
「そういうわけだから、通夜に行って来る。晩飯は適当にしててくれないか」
「ん、わかった。気を付けてな」
宗は父親を送り出したが、得も言われぬ不安を感じた。
色々と病気の出て来る年代だとは言え、こうも立て続けとは……。
直前まで父親が見ていたらしき同窓会の集合写真をテーブルの上に見付け、やり切れない気持ちで眺める。
「んん!?」
また、違和感があった。
おかしい。コピーでもとっておけば良かったと思いつつ、じっくりと見る。どこが違うのか、どこも違わないのか。
豊中さんが正雀さんの肩に手を置いて、正雀さんが父親の肩に手を――。
「この前は置いてなかったぞ」
見間違いか、記憶違いかと、何度も思い出そうと記憶を辿る。
「落ち着け、落ち着け」
ドキドキしてくるのを深呼吸をして落ち着かせ、もう一度、真剣によく思い出してみる。
「……やっぱり、変わってる。正雀さんの手は下に下げられていた。豊中さんだけが手を――」
そこまで考えて、血の気が引く。
豊中さんが亡くなって、手をかけたのが正雀さん。その正雀さんが亡くなって、手をかけたのが父親。
「次は親父か?」
まさか。そう思いたいが、高校入学以来、そういう不可思議な事は本当にあると分かっている。まさかと決めつけて取り返しのつかない事になったら……。
宗は、写真を持って家を出た。
怜の家に着く前に電話をしておいたら、直と楓太郎と智史も来ていた。
「あ、すみません。あの」
「いいから、上がれ」
言われて上がろうとし、靴を揃えようとして初めて、指先が震えている事に気付いた。
怜の部屋に入り、写真を出す。
「この、この人が」
「ああ、わかる。この人が先に亡くなった人で、こっちが今回亡くなった人だな」
「は、はい」
驚いたが、これで決定的になったとも言える。この写真は、普通じゃない。そして、普通じゃ無い事が、起こっていて、今からも、起ころうとしている。
「この人が、宗の小父さんかねえ」
「はい」
「よう似てはるなあ」
「怜先輩。直先輩」
楓太郎は、身を乗り出すようにしている。
宗は、怜と直が次に何を言うのかと、集中した。
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