第37話 女の子だもん やっぱり嬉しい!
気持ちよくお風呂を堪能した後は、しっかりボディクリームを塗ってもらい、いよいよ待望のドレス選びだ。
ブスだから普段着はしま〇らかユニ〇ロでしか買ったことがないんだよね。
それに親に任された生活費、無駄遣いしたくなかったし。
美少女と言われるこの顔なら、服も選び放題だ。
コルセットを我慢しさえすれば・・・。
「コルセット? そんなものはございませんよ」
「え、ないんですか?」
「昔、外国の商人が
倒れるご婦人続出で夜会やお茶会がなりたたず、それでも最新流行です、コルセットをつけないのははしたないことですと言い張る商人。
安くもないものを買わされたうえに妻子が倒れるまで追い込まれた紳士方が、ではお前が着けてみろとぎゅうぎゅうに締め付けて王都を引き回したところ、一時間でギブアップ。
「自分が試して苦しいものをか弱い女性に売りつけるとは。二度とこの国で商売はさせぬとその姿のまま国元に送り返したそうですわ。笑い者にはなっても、その後苦しくないコルセットを開発して大儲けしたとか」
さすが転んでもただでは起きない商人ですわねと、若いメイドさんがコロコロと笑った。
そして私の前には何着ものドレス。
「きれい・・・。これを私が着ても良いのですか」
「もちろんでございます。どれもお似合いとは思いますが、お好きなお色とかございますか」
鏡に映る自分を見る。
銀色のロングヘアと緑の大きな目。白い肌。
いつも紺とか黒っぽい服を着ているから、ピンクとか着てみたい。でも・・・。
「あまり薄い色だとぼんやりした印象になるかしら」
「さようでございますか。確かにお肌の白さを引き立てるには、少し濃いお色目の方がよろしいかもしれませんね。ではこちらはいかがでしょう」
勧められたのは真紅の
あれ? と思っていたらメイドさんが説明してくれた。
「私たちのような平民は、動きやすい腰で切り替えの服ですが、貴族階級のご婦人は胸の下で切り替えるこのようなドレスになります」
階級によって着るものが違うのか。貴族のドレスを一般市民の私が着てもよいものかと思うけど、このドレスは嬉しい。
だって、あれだよ、あれ。
「ロミオとジュリエット」のジュリエットの衣装。
前は靴が隠れるくらいの長さで、後ろは少し長めでとてもエレガント。
となると髪はあれしかない。
「後ろで一つの三つ編みにしてください。ヘッドドレスはお任せします」
「結い上げなくてもよろしいのですか。かしこまりました」
◎
「いかがでしょう。似合いますか」
「これはこれは。見違えたよ、ルー」
ギルマスとご老公様の前でクルリと回ってルべランス。
メイドさんは私の思った通り、スッキリと三つ編みに可愛いヘッドドレスでまとめてくれた。
そして盛り上げるだけがおしゃれと言うわけではないのですねと私はセンスを褒められた。
いえいえ。映画の衣装担当さんにお礼を言わねば。
「可愛いのう。ワシの目に狂いはなかった」
「素敵なドレス、お貸しいただきありがとうございます」
「いやいや、それは言わば仕事着じゃ。これからは一日おきくらいに来て、セシリアから淑女教育を受けると良い。冒険者として覚えなければならないこともあるし、それくらいがちょうどよかろう」
「はい、ご老公様」
しばらくドレスの感想などを話し合っていると、廊下がバタバタと騒がしい。
そのうち扉が叩かれ侍女頭のセシリアさんが現れた。
「侍従見習たちの支度が整いました」
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