第123話


 翌朝、俺が1人で城に行くと、城門前でデュックが待っていてくれた。


「やあ、司君、昨日はすまなかったね」

「いえ、デュック様、ご足労いただきありがとうございます」

「いや、用件は任務の事かな?」

「はい、丁度陛下に呼び出されてまして、よろしければデュック様も」

「ん?大丈夫かい?」

「はい、任務の内容に関わる事なので陛下にも確認しておきたいので」

「そうか、分かったよ。お供させて貰おう」


 そうして、俺とデュックは国王の待つ謁見の間へと向かった。


「おお、良く来たな司よ」

「ははあ〜」

「デュックも一緒であったか」

「はっ、陛下」


 俺は先ずデュックに同行して貰った理由を国王に説明し、デュックに今回の任務の特殊な同行者達を伝えて良いか許可を取った。

 国王の許可を得て其れをデュックに伝えると、彼は流石にブラートが同行する事には微妙な感じだったが、フレーシュとのやり取りを伝えると俺に謝意を示した。


(う〜ん、まぁ本人が本人だし、主人がこう言っている以上仕方ないのかなぁ・・・)


「良いのか、デュックよ?」

「はっ、陛下。彼女にも考えがあると思いますし」

「ふむ、確かにフレーシュの将来を考えると、今回の任務に同行し達成する事は意味があるだろうしな」

「はっ、同行の許可をくれた陛下と司君には感謝の言葉もありません」

「ふふ、まあ司もおるのだ、きっと大丈夫だろう」

「はっ、司君、どうかフレーシュの事をよろしく頼むよ」

「はい、必ず守ってみせます」


 俺は頭を下げてくるデュックにそう答えるしかなかった。

 その後、国王から今回の任務での連絡に使う為の通信石を3個貰った。

 かなり貴重な物だが、流石国王からの任務と言うべきだろう。

 貴重な物と言えば・・・。

 俺は先日試練のダンジョンでドラゴンを仕留めて手に入れた魔石の事を思い出した。


「陛下、今日は陛下に献上したい品が有るのですが、よろしいでしょうか?」

「私にか?うむ、良かろう見せてくれ」

「ははあ〜、此方になります」


 俺がアイテムポーチから魔石を出すと、その輝きで室内の明るさが一段増すのが感じられた。

 確か前にローズに説明を受けた時、上級魔石は国が管理すると言ってたからな。


「ほほぉ、此れは上級魔石だな。此れ程の規模と純度の高い輝きを放つ物は、私もそう見た事が無いぞ。此れは何処で手に入れたのだ?」

「ははあ〜、先日試練のダンジョンでドラゴンを狩った折に手に入れました」

「・・・お、おお、そうか。流石だ、司よ」

「ははあ〜」

「ふふ、本当に私は恵まれておるな。そう思わんか、デュックよ?」

「はっ、実に素晴らしき才。我が国の将来は明るいと思います」

「ふふ、そうであろう。司よ良くやった」

「ははあ〜」

「この褒美は今回の任務のものと共に与えるぞ」

「ははあ〜、有難き幸せ」


 その後、国王から明日早朝、宿に迎えを送ると言われ、会合はお開きとなった。

 俺とデュックが城から出ると、城門でバドーが待っていてケンイチからの手紙を2通渡された。

 1通はリールの手紙への返信とローズへ宛てた物の様で、もう1通は日本語で俺宛の物だった。

 俺は城門でデュックと別れ宿への道すがら手紙を読むと其処には、果たし合いの件の謝罪、自身の不在中リアタフテ家を頼むとの事、今回の任務の成功を願うとの事が書いてあった。

 俺は読み進めていく内に、胸に熱いものが込み上げて来るのを感じたが、手紙は2枚あり2枚目には、ローズとの事は絶対認めないと紙の四隅からはみ出さんばかりに、力強い筆跡で書かれていた。


(俺ももしローズのお腹の中の子供が女の子だっら、将来こんな感じになってしまうのかなぁ・・・)


 そんな事を考えながら宿へと帰り、一晩明けて翌朝、俺とルーナ、フレーシュの3人は監獄で、フォールとブラートの2人と合流し、最初の目的地であるリアタフテ領へと出発するのだった。

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