第76話~森に訪れた変化
部屋に戻った私達は、タブレットで見る為椅子に座った。私はいつも通り、ユージさんの膝の上だけどね。
得られたポイントは1012。
100ポイントで★一個と交換だから★がなかった私達は、畑を借りて正解です!
カカヲ鉱石の粉(1スペース分)もあって、★10個と交換。
そしてなんと、カカヲの実もあって、これは1万ポイントで交換できる。ただし品種改良不可で植えても実がならない。
改良せず食べる気ならこっちを狙うんだろうね。
まあ、カカヲの実じゃなくて、★集めでもいいのかもね。
ポイントが余ったら★と忘れずに交換しておかないと!
「全部★にしていい?」
「もちろん!」
「えっと。じゃお徳用買うね」
「うん」
問題の早熟肥料は、★3つ。お買い得★10個で5つというのもあった。
★は、10個だからお買い得を買って、早熟肥料を5個手に入れました。でもまだ足りないから発掘しに行かないのとね。
よしこれで明日から育てる事が出来る!
私達は、期待を胸にログアウトしました。
次の日の25日の目覚めの刻にINすると、やっぱりユージさんはもう来ていました。
私達は早速、ワープマーカーで畑へ向かいます。
「じゃ僕は、肥料を混ぜて種を植えちゃうね」
私は頷いて、ユージさんの畑仕事を見学。
あれ? そう言えばこれ、バレンタインのイベントだよね? 普通は女の子が頑張るイベントじゃない?
うーん。そうだ!
私は本を覗いた。何かあげようと思ったの。勿論内緒です!
で、私が本を見ている間に肥料は混ぜ終わり、気が付けば棒を差しています。
昨日クワと一緒に持って来た棒です。
「それ、なーに?」
「これ? そっか。この世界の作物の実のなり方って三種類なんだ。一つは木になる。リンゴとかだね。もう一つは、根。土の中で育つ。これはじゃがいもとか。で、最後の一つがツルのような感じにこの棒に巻き付いて、それに実がなる。これが一番多いんだ」
ユージさんが、わかりやすく説明をしてくれました。
なるほど。カカヲの実はツルなんだ。
「この三つがトマト。次の三つが朝顔。で、残りの四つがとうきび」
順々に指差しながら、私に何の実がなるのか説明してくれた。
「カカヲは植えないの?」
「たぶんだけど、最初はこうやって他の食物から取るんだと思うんだよね。じゃないと方法がないから」
「え?! そうなの?」
ユージさんは頷く。
そう言えば、カカヲの実と交換できるけど、植えられないと書いてあった。
そうなると、ユージさんの言う通り他の食物にたまになるんだ。カカヲ鉱石の粉を混ぜる事で、カカヲがなる。
そう言う仕組みなんだね!
「早熟肥料で明日二個ずつ収穫できるはず」
「あれ? 5個じゃ……」
「5個分あれば、うまくやると一つ増やせるんだ」
「ユージさん、すご~い!」
「じゃ、僕はもう一仕事するね」
「うん」
何をするんだろうと思ってみていたらカカヲの鉱石の粉を敷き詰めていない場所も掘り起こし始めました。
そして何かの種を植えて、棒を立てていきます。
その数、10本。
「それって何?」
「うん? あ、これもとうもろこし。ライマルさんに頼まれたんだ。実りの鳥のエサ。こっちは、普通に育てるから三日かかるけどね」
「そうなんだ」
クワを借りに行った時に頼まれていたんだ。
畑をただで貸してくれるんだし、それぐらいはね。ユージさんが大変だけど。
「じゃ今日も発掘いいかな?」
「うん。勿論!」
『ユージ、ソレイユよ。今すぐに森にきなさい!』
うん? 今声がどこからか……。
「今、声聞こえた?」
「うん。森に来いって……」
私が聞くと、ユージさんが頷いて答えました。
「もしかしてモーグの森かな? 僕達に語り掛けるなんて出来るの番人ぐらいだと思うから……。何かあったのかな?」
森に行くなら街から行った方が早い。
私達は、一旦街へワープして、モーグの森に向かう事にしました。
◇
凄い光景を目にしました。森にプレイヤーが向かっています!
「何これ?」
今までは、壁の向こうがに行ったら森とは反対側の迷宮に皆向かっていた。
呼び出された原因ってこれ?
ユージさんが私を抱っこして、森まで走りました。
大勢の人が森の入り口にいっぱいです!
「あぁもう! なんでまたここに戻るんだ!」
そんな怒り狂った叫び声が聞こえてきました。
迷いの魔法を掛けてあるみたい。
ユージさんは、その森へ走って入ると、外に出される事無く森深くに入れました。
「キュイー!」
懐かしい声が聞こえます!
がしっとユージさんを鳥が掴み、私達は運ばれて行きます。
やっぱりここの森であっていたようです。
ついた場所は、あの大きな木の枝の上です。
『これはどういう事だ?』
ついて早々に、フクロウの姿のロウさんが訪ねてきました。
困りました。そう尋ねられてもわかりません。
「し、調べてみます」
『調べる? 君達が何かしたのではないのだな?』
「はい……」
『わかった。ではお願いする。後、これも渡してほしい。書状だ』
人の姿をとったロウさんが、ユージさんに渡した。
受け取ると、ユージさんは頷きました。
「キュイー!」
用件がすむとまたがしっと掴まれて、森の外で下ろされました。
鳥を見送りユージさんが、ポツリと呟く。
「まずい事になった」
その顔は、強張っていました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます