第60話~ロウの加護
フクロウだった少年が木に座ってこちらをジッとみています。
書状は彼から鳥に渡され、届けられた様です。なので返事待ち?
「あなた達は、何故この島が二つにわかれていたか知っていますか?」
二つ? あ、崖の壁によってって事ね。
私は首を横に振った。
「いえ、知りません」
ユージさんは、そう答えた。
「そうか。では、待っている間、暇だろう。聞かせてやろう」
見た目としゃべり方に差があって、違和感があるけど私達は頷きました。
あぁでも、片言じゃなくちゃんと聞こえるって、聞き取りやすくていいですね!
「その昔……」
フクロウさんが語り始めました。
その昔、フクロウさん側しかこの島にはいませんでした。しかし、ケモミミ族がやってきて、探索を始めたという。
その時錬金術師が、この島の問題を解決してくれた。……が、ケモミミ族は勝手に街を作った。
先住民とケモミミ族が対立!
そこで錬金術師が、境界線を作った。勿論錬金術師はケモミミ族。先住民がそれでなっとくする訳もなく、違う条件も出して来た。
その独特の魔法陣でこの島を守る事!
その条件を飲み、錬金術師のほどんどが境界線の崖の向こう側に渡り、この島の保護活動に専念しました。
この島が今も緑豊かなのは、錬金術師のお蔭だと言う。
この島では、錬金術師は英雄のようなもの。
しかしケモミミ族が、勝手に境界線を超えれば、
「あなた達が間に入れば、事はスムーズに進むかもしれない。だが勝手に入った事にフォレスト様はお怒りです!」
フクロウさんの最後の言葉に私達は顔を見合わせた。
『ねえ、覚えてる? 宝玉を探してって言われた時の事』
突然、以心伝心でユージさんが話しかけてきました。
『えっと……』
『宝玉がないと呪いがどうのこうのって言っていたでしょ?』
あ! そう言えば呪いがとか、精霊のリティちゃんが言っていたっけ?
私は頷いた。
『もしかしたらこの島は、元々災難に見舞われた島だったのかも。錬金術師がそれを魔法陣などを使って解決した。あの宝玉を使った魔法陣の様に……』
『そっか。じゃ、色んな所にそういう魔法陣があるのね!』
ユージさんが頷いた。
『それで何か一つ、事件を解決しないと壁の向こう側に進めないのかも!』
『え? それって私達だけしか行けないって事!?』
ユージさんは、今度は首を横に振りました。違うらしい。
『イベント的に事件を解決すれば、錬金術師としてこっち側を探索できるんじゃないかな? 多分、壁を壊した時点で、イベントが発生していると思う』
なるほど。こっち側を探索したいならイベントを進めて行くしかないって事なのね!
鳥が戻って来た! 早いです……。
フクロウさんが私達に近づき、返事の書状を渡してくれました。
「私の名は、ロウ。あなたをこの森の錬金術師として認めよう!」
「……はい。ありがとうございます」
「えっと。ありがとうございます」
書状をユージさんに渡す時に、フクロウさんが名を名乗り、驚くもユージさんは礼を言った。慌てて私も続いて礼を言いました。
ロウさんって言うのね。
私達をこの森の錬金術師として認めてくれたみたい。ユージさんが言った通りイベントを解決すると先に進めそうね!
《森番ロウの加護を取得しました》
うん? 加護? え! スキル!!
私とユージさんは、驚いて顔を見合わせました!
「私の加護を与えた。これで境界線のこちら側で活動出来るだろう。ただし非なる事をすれば、その加護は取り消して頂く。宜しいか?」
「はい! ありがとうございます!」
ロウさんの言葉に、ユージさんは頭を下げつつ礼を言いました。
「ありがとうございます!」
私もそれに習い、頭を下げ礼を言いました。
あぁ、頑張って塗料を作った甲斐があったわ!
私達は前と同じく、鳥に地上に降ろしてもらい、返事の書状を持って街に向かいました。
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