第48話~魔法陣を探す方法

 二つ目の魔法陣に向けてユージさんは走り続ける。疲れはしないだろうけど、スタミナは大丈夫なのかな?


 「ねえ、スタミナは大丈夫?」

 「うん。大丈夫。ポーションもあるし問題ないよ」


 そうニッコリ微笑んで答える。

 その時でした。フッと辺りが真っ暗に!


 「きゃー!」

 「杖、絶対に離さないでね!」


 ギュッと目を瞑り、ユージさんに見えないと思うけど頷く。

 明かりがともされたようで、明るくなったのを感じそっと目を開ける。


 「大丈夫? 怖くない?」

 「うん……。大丈夫。ちょっとびっくりしただけ」

 「君の鉱石には一間後ぐらいに魔力を注ごう。そうしたら一緒に消える事はないからね。いいかな?」

 「うん」

 「じゃ、走るよ」


 私が頷くと、ユージさんは走り出しました。

 そして一時間後に私の鉱石に魔力を注ぎ、無事に二つ目の魔法陣に到着。

 魔法陣を描き魔力を注ぐ。


 「これで二つ目。じゃテントにワープで戻ろう」

 「うん」


 杖を胸の前で握りしめ、私はワープする。

 ワープは成功し、テントの中に無事に到着です。ユージさんも隣にいます。ホッと一安心。


 「じゃ、後二つ頑張ろう!」

 「うん。お願いします」


 テントの外に出て、ユージさんに抱っこされ、次の魔法陣へ出発です!


 私はふと気づいたのですが、もうきっと虹の刻を過ぎていると思うのですが、雨に当たっていません! 天然の傘のお蔭ですね! まあそのせいで真っ暗なんですけどね。


 三つ目の魔法陣を描いている時に、ユージさんはポーションをなめていました。

 魔法陣に魔力を注ぎ起動させる。そして最後の魔法陣に向かう。


 「後、一つだね!」

 「うん」


 最後の一つの魔法陣の元へ辿り着きました。着いたはずなんだけど、見当たらない!


 「え? どこ?」


 私は辺りを見渡すも発見出来ない。地図はここだと示しているのに。


 「困ったね。地図にあるから魔法陣は消えてないと思うんだけど……」


 何せ辺りは真っ暗で、近づかないと見えない。地図はこれ以上詳細に出来ないので後は自分達で探すしかない。

 こういう時こそ、おじいちゃんの本よね!


 私は本を取り出し呟く。


 「魔法陣を探す方法」


 スッと文字が浮かび上がる。


 魔法陣を探すアイテムがあった。探知機ダウジング。これ絶対に発明品です! 時間大丈夫かな? でもこれしか方法がないわ!


 「魔法陣を探す方法があるけど発明品みたい! 私が魔法陣を描くから粘土お願いね!」

 「うん。任せて!」


 私は杖を握りしめて、そこら辺の石で下書きを始める。暗いし杖から手を離さない様にしなくちゃいけないので、いつもより緊張する。でも今描いているのは、粘土を作る魔法陣。いつも描いているから焦らなければ大丈夫と言い聞かせて描いて行く。

 描き終わり魔石でなぞり、ユージさんが土を魔法陣に入れると、いつも通り粘土が出来上がりました。


 「ふう」

 「大丈夫? 暗いと描きづらいよね?」

 「大丈夫! それよりお願いがあるの。大き目な魔石を先が尖がるように削ってほしいの」

 「え……」


 ユージさんは渋い顔をしています。魔石を削る方法は一つ。アイスピックを使って削るです。尖がらせるのはきっと大変だと思う。けど、その間に私は魔法陣を描かなくてはいけない。


 「頑張るよ」

 「うん。私、魔法陣描くね」


 私達は頷きあってそれぞれの仕事をこなします。


 「出来たよ」


 三十分程してユージさんがそう言いました。私を描くの一旦やめてユージさんに振り向く。


 「えっと、じゃ鎖を作ってもらっていいかな? 輪っかにして繋げていくやつ。それを尖っている反対側の所にくっつけてほしいの」

 「それってもしかして、ダウジング?」

 「うん」

 「そんなのも作れちゃうんだ」


 そう言いながらユージさんは、粘土を細長くしていく。私はそれを確認すると魔法陣の続きを描く。

 三十分後下書きが終了。ユージさんも鎖を作り終わり、魔石にくっつけていた。


 「よし!」


 気合を入れて下書きをなぞって行く。前回発明品を作った時は、粘土を板にしてその板に魔法陣を描くというひと手間があったけど、今回は失敗してもこの魔法陣を描けばいいだけです。まだ気が楽。


 よし出来た!

 ふんわり魔法陣は輝いている。


 成功率はLUK300で1%。今経験値が71,000ほどあるので全部LUKに振ると、長所なので14,000増えます。合わせるとLUKは2万です! 成功率66%です!

 確率としてはまずますですよね!


 「成功率ってどれくらい?」


 ユージさんも心配そうに聞いてきます。前回、成功率上げるのに苦労したものね。


 「経験値をLUKに全部振って、66%になったから期待できるかも!」

 「うん! それならいけそうだね!」


 私は杖に気を付けながら、振り子になる予定の魔石を魔法陣の上に置く。

 杖を握りしめて光が上がるのを願う!


 スッと光が駆け上がりました!


 「やったぁ! 一発成功!」

 「凄いよ! ソレイユさん! お疲れ様!」


 今回は創造力が25,000あれば作れるアイテムだったのです。37,000あったので、成功率が70%とか80%とかあったのかもしれない!

 あぁでも、前回苦労したから一回で作れたのは嬉しい!


 出来上がった振り子を見ると、ちゃんと粘土はチェーンになっていました。魔石はそのままの様子。


 「で、これどうやって使うの? 魔石に魔力を注げはいいだけ?」

 「うん。振り子を垂らして、探したい物を言うだけ。大きく振れた方向に進めばいいみたい。一回で10分効果があって、一回MP10消費です」

 「じゃ僕がこれを持つね」


 そう言って、魔石を握り魔力を注ぐと、魔石はフワッと光を帯びる。これだけでも辺りは少し明るくなりました。


 「魔法陣を探して」


 振り子はちゃんと機能しているらしく、振れます! 当たり前だけど不思議です! そして5分ぐらいでグルングルンと回転する場所を発見!

 足元を見るも魔法陣は見当たらない。でもここは、蔦が凄い所でした。ユージさんは振り子をポケットにしまうと、自分のリュックからナイフを取り出し、蔦を切って行く。


 15分後、魔法陣が顔を出しました!


 「これじゃ、わからないよね。よかった振り子が作れて!」

 「ありがとう。ユージさん。じゃ魔法陣描いちゃうね」


 ユージさんは頷く。

 私が魔法陣を描き終わると、ユージさんと二人で最後の仕上げです。杖を握り魔法陣に魔力を注ぐ。


 魔法陣から離れると、魔法陣に光が駆け上る!

 そして辺りが眩しいぐらいの光に包まれたのでした――!

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