#200(5週目火曜日・午後・スバル)

「そういえば、ユンユンさん。動画の編集はいいんですか?」

「あぁ…、まぁ、大丈夫かな? アイキャッチとか素材一式は作っちゃったから、あとは撮れ高を切り貼りしていくだけ~」

「はぁ…」


 昼、ボクたちは今日も先輩のギルドでまったりしていた。もちろん、先輩が来られないのは聞いているので、来る意味はないのだが…、何となく、体が習慣を覚えてしまっていた。あと、できることならニャンコロさんと手合わせをお願いしたいと思っていたのだが…、どうやら今日は来ていないようだ。


「そう言えばさ、スバル君ってC√なんだよね?」

「はい。そのつもりです」

「スバル君って何に転生する予定なの? そう言えば聞いてなかったよね??」

「あぁ、一応、鬼系種族を考えていますけど…、確定では無いですね」

「そっか~」


 言ってなかったと言うか、そもそも当初はそこまで考えていなかったので適当にはぐらかしていただけだ。C√の人外転生は選択肢が多い。L√はエルフとか人狼などの亜人種族までしか転生できないのに対して、C√は完全な魔物にも転生可能で、転生条件も複雑だったりする。とはいえ、全くのフリーダムと言う訳でも無いので、いくつかパターンは決まっている。




・人外転生のパターン

①、獣人系上位種族(ワーウルフ、ワーバードなど)

 L√と同様に亜人(半獣人:4分の3が人で、残りの1が獣)に転生して、そこから純潔の獣人(幻獣人と呼ぶ)を目指してに転生していくパターン。L√でも途中まで同じだが、幻獣人まではいけない。因みに幻獣人は、4足歩行の獣ではなく、2足歩行の知性を持った獣、あるいは人型に変身可能な獣系種族となる。人狼や猫又、あとは鳥人なども含まれるそうだが、公式の名称はワー○○(動物名)の形に統一されている。


 共通特徴は、物理面のステータスが伸びやすく、魔法面が伸びにくく、嗅覚などの五感や六感に関するスキルにボーナスがつく。


②、精霊系上位種族(ドライアド、フェアリーなど)

 獣人の精霊版ルートと思えばいいが、精霊系は思念体と呼ばれる霊的な存在も転生先に含まれるので明確に差別化されている。植物系もここに含まれる。


 共通特性は、魔法面のステータスが伸びやすく、身体能力の低い個体が多く、固有スキルを覚える個体が多い。


③、鬼(巨人)系種族(オーガ、ジャイアントなど)

 L&Cの世界では鬼系種族は精霊系の対極の存在になっており、種族分類は同じ精霊系だがルートは完全に分離されている。例えるなら生者と死者のような関係らしい。


 共通特性は、特殊能力を持っている個体もいるが、基本的に脳筋。圧倒的な力でねじ伏せるタイプ。


④、竜系種族(リザードマン、ドラゴニュートなど)

 爬虫類や竜系、あとは便宜上虫系や魚系種族も含まれるルートで、獣人も含めれば動物系となるのだが、コチラのルートは全身がウロコでおおわれていたりと人間っぽさが気薄になっている。


 共通特性は、環境適応型種族が多い点。水中など、陸上種には攻略不可能な場所でも攻略可能だが、それ以外のフィールドではマイナス補正(デバフ)を受けやすい。


⑤、死霊系種族(ゾンビ、レイスなど)

 いわゆるアンデッドモンスター。人型であっても殆どが人属性を持っていない。個性が強く、状態異常や物理攻撃などを無効化してしまうかわりに、特攻も受けやすい。


 共通特性は、全体的にステータスが低く、無効化能力が多い。


⑥、天使・悪魔系種族(エンジェル・デビルなど)

 L&Cの世界では「天使が善で悪魔が悪」と言う概念はない。(善悪ではなく、人類(王国)と敵対しているかどうかが大きな判断基準になっている)概念存在や超越種として特別なポジションにいる種族。例外もあるが基本的に転生条件が厳しくハイリスクハイリターン。


⑦、その他(ゴーレム、スライム)

 無機物生物や不定形種族、一部の虫や魚類も含む例外種族のグループ。種族によって個性が非常に強い。


 一応、それぞれの種族でルートは分かれているが、種族・転生条件を複数有している種族もあり、ルートに互換性のある種族や、例外も多い。また、基本的にパワーバランスは統一されておらず、種族値(ステータスの合計値)に大きな開きがある。




「ニャンコロさんは…、どう考えてもワーキャットですよね」

「だろうね~」

「ユンユンさんは、ハーピーからセイレーンを目指すんですよね?」

「ん~、セイレーンを目指すのは確定なんだけど、今は寄り道もアリかな?って思ってる」

「他に何かやってみたい種族があるんですか?」

「そうと言えばそうなんだけど…、L&Cは長く続けるつもりだから、最短距離じゃなく、寄り道しながらってのもいいかなって思って」

「たしかに、更なる上位種を目指すわけじゃないですから、転生回数を目一杯使うのもありですよね」

「そそ」


 ステータスは種族値に加えて、転生ボーナスが適用される。途中の転生経路は加味されず、5回までボーナスが増加して、それ以降は一律となる。5回転生すれば、どの種族もそれなりに戦えるようになるらしいが…、根本的にL&Cは装備や種族よりもプレイヤースキルが重要なゲームであり、上位種族は転生条件を満たすだけでも大変。基本的にはRPGゲームであるものの、やり込んだからと言って時間で解決できない部分は多い。


 攻略サイトのコメントを斜め読みしてみると、最強装備や最強種族を一直線に目指すのもいいが、手間はかかってもやり直しがきく部分は多いので、手軽に試せるところからコツコツやっていくのが1番…、との意見でまとまっていた。


「それで、今日はニャンコロさんは来ないみたいですけど…、どうしますか?」

「ん~。 …ごめん、今日は転生とか、他にもL&Cのこと、調べてみようかな。つか、このゲーム、考える事が多すぎだよ~」

「ははは、ですよね…」


 かく言うボクも、攻略情報を調べるのに何度も休みを潰してしまった。レベル上げが遅れている1番の理由はソコだったりする。


 でも、これもゲームの醍醐味の1つだよね?




 そんな事を考えながら、ボクはユンユンさんと別れ、今日もソロで各地のフィールドを徘徊して過ごした。

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