邪悪
俺は人間が嫌いだ。数多の掌編と詩を此処まで綴り続けたが、総ての根源に存在するのは人間への嫌悪。憎悪。嘲笑だ。超常や神話で塗り固めた地獄と楽園は、人間が絶対に辿り着けない領域だ。されど俺は『超越』すらも人間だと唾を吐く。確かに神は慈悲深く、寛容に満ちた輪郭だが、最もおぞましい代償を与えて消える。代償の名前は『 』で在り、如何なる人間でも抱えた希望だ。空白とは未来を指す言の葉で、刺される意味を忘却させる。そうだ。人間とは恐怖を蔑ろに成す、本当に愚かで腐り切った類なのだ。例えば。俺を例に晒して視よう。俺は俺自身が真に差別的だと知って在る。頭痛がするほど己中心で、眩暈に触れるほど莫迦なのだ。ああ。神よ。人間に寛容を埋め込むならば、代償を無くして産み落とすべき。それとも。孕んだ神が冒涜的な山羊だったのか。嗤える冗談を有難う。彼等も結局は人間の副産物なのだ。さて。此処で皆様に質問だ。俺の執着する所以は何だ。俺が無意味に。無駄に。現状を『記す』には如何なる所以が在ると想像を――おっと。答えは要らないな。何故かって。正直に話そう。
俺は貴様等も判らない。俺は貴様等も解らない。悲しい己を水で流し、異常と狂気で固めて終え。逃避する為に――杞憂だ。強大な杞憂。凶悪な杞憂を殺す為に――俺は此れ『寛容』を望む。如何か、俺の罪と欠点を、見逃してください。
【で】【お前は何を演じて在るのだ】
【棘を取り除く事も無く】
【一生の
【寛容が呪いならば必ずや】
腐る。腐る。代償が始まった。
されど俺は指先が堕ちるまで。
あ。赤子が生まれた。俺を継ぐ筆だろうか。可笑しいな。
貌が無いぞ。掌が腐った俺を齧り――
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