僕らは…21

「よう、全校生徒のみんな。副会長である神崎冬夜だ。いつもは会長である紅蓮に挨拶は任せてるから、こうやって皆の前で話すのは初めてになる。

初めての挨拶が、まさか紅蓮の弁解だとは思わなかったけどな。


みんな、ちゃんと聞いてくれ。

俺も会長である如月紅蓮のことが好きだ。これは、友人としての好きじゃない。

会長と同じ俺も、皆が嫌いな同性愛者ってわけだ。会長副会長揃って、同性愛者だとお前らは引くか? 俺は引いてもらっても一向に構わない。ただ、一つ言わせてもらうならば、俺は同性愛者だから、近くにいる紅蓮に惹かれたんじゃねえ。俺のサポートをしてくれて、でも、時々、俺のために怒ってくれる。そして、一人だとすぐに落ち込んでは女みたいに泣く。そんな如月紅蓮だから好きになったんだ。守ってやりたいとも思った。


俺は会長としての紅蓮が好きなんかじゃない。如月紅蓮、一人として好きなんだ。最初は神崎紅のファンだったから、親友である紅蓮にも神崎紅を知ってほしかった。でも、神崎紅の名前を出すと、紅蓮は嫌な顔をしたから、俺はてっきり神崎紅が嫌いなんだと思ってた。だけど、神崎紅が自分であることを話したくなかったからこそ、俺にバレないように今まで隠し続けていたなんてな。神崎紅だと知ったら、俺が紅蓮を憧れの人としてしか見なくなる。それが嫌だから黙っていたらしい。


な、紅蓮って可愛い奴だろ? それに紅蓮が会長になって、学校が以前より良くなったと思わないか? といっても、好きな奴を庇う副会長って言う目でしか見れないか? 俺は紅蓮が好きで、紅蓮も俺が好き。これが事実だ。他に言うことはない。……俺達のことが気持ち悪いか? そう思うなら勝手に思えばいい。会長副会長を一気に生徒会から、おろすか? そうしたいだったら好きにしろ。俺は紅蓮が好きだから、何をされようとも構わない。以上だ。……紅蓮、行くぞ」


「冬夜……」


俺は紅蓮の手を強く握り、その場から紅蓮と一緒に立ち去った。

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