僕らは...20
“冬夜、僕は冬夜のことが好き。だから、僕を憧れとして見ないでほしい”
そのメールの本文にはこう書かれていた。
ただ、返信不要ということもあり、メールを返信することはなかったが、紅蓮のメールの内容がイマイチ理解出来ないのもあった。
「好き」というのも親友として「好き」だとばかり思っていた。
しかし、「憧れとして見ないでほしい」という意味はわからなかった。
俺は一度でも、紅蓮、お前のことを憧れていると言ったか?
……神崎紅。その名前が頭によぎった時、紅蓮が言っていたことがわかった。
だけど、なんで、そんなことをわざわざメールで知らせるんだ? などと思っていたが、全校集会で俺のことが好きという発言でようやく一つの答えにたどりつくことが出来た。
ようするに、神崎紅自身としてではなく、如月紅蓮として自分の全てを見てほしいということなんだな。
「お前のメールはわかりにくいんだよ……紅蓮」
だったら、俺も伝えてやる。さんざん、お前のことを好きだったという気持ちを、この全校集会で……俺は体育館の入り口の扉を開けて、紅蓮が話しているのを遮ってまで、こういった。
「待てよ、紅蓮」
「……冬夜」
なんだよ、その顔は。驚いたか?お前が学校を休んでほしいと言ったのに、なんで俺がこんな場所にいるって顔だな。
だけど、今からもっとお前が驚くような発言をしてやる。
だから、一言一句聞き逃さず、俺の話を聞け。
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