僕らは…15

「冬夜~」


紅蓮は酔った勢いで、俺に抱きつこうとしていた。


「紅蓮、やめろ」


これ以上、甘えられると俺が紅蓮、お前に触れたくなってしまう。

そんな俺の気持ちも知らず、紅蓮は言葉を続けた。


「嫌だ、冬夜に甘えたい……」


「紅蓮、今だけ少しの間だけ、このまま……」


「うん、わかった……」


紅蓮の一言で、俺は我慢できなくなり、教室で紅蓮を抱きしめていた。


どうか、このまま誰にもバレませんように……。


紅蓮の頬が赤かったのは何故だろう。

それはお酒の入ったチョコレートのせいか? それとも……。


あの時もそうだった。いきなり雨が降り出して、俺と紅蓮が雨宿りしたときに、紅蓮が愛しいあまりに紅蓮にキスをしようとした。


紅蓮は驚いた表情は見せたが、不快な表情もあからさまな拒絶もしなかった。今だってそうだ。好きでもない、ただの親友の俺に抱きしめられているんだぞ? 

嫌じゃないのか?


俺は紅蓮のことが好きだから、今の状況が夢なんじゃないかと思うくらい幸せだ。


この時の俺はまだ知らなかった。

紅蓮の涙を再び見ることになるなんて……。

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