僕らは…12

「僕は早く、星ヶ丘高校の生徒に自由に恋愛をしてほしいと思ってる」


「……え?紅蓮、今なんて……」


一瞬、聞き間違いかと思った。さっきの話で、一旦終わっていた話に再び戻った。

紅蓮の言葉は俺の予想とは違っていた。てっきり、恋愛禁止の今の校則に賛成だと思っていたからだ。

さっきの「すごく幸せそう」は本心だったんだな。


「冬夜には話してなかったね、僕がなんで星ヶ丘高校の生徒会長になった理由」


「ああ。わざわざ、会長になった理由までは聞いたことはなかったな」


「じゃあ、話すから……聞いてくれる?」


「わかった」


紅蓮は真剣な表情をして、俺の顔をしっかりと見つめ、自分が何故、星ヶ丘高校の生徒会長になった理由を語りだした。


「僕たちが通ってる星ヶ丘高校が中高一貫なのは冬夜も知ってるよね?」


「ああ」


「僕は星ヶ丘中学にいた頃から、考えていたことがあったんだ。それは、星ヶ丘中学高校の校則である恋愛禁止の規則を変えること。僕が中学に入学して、風紀委員長をしていた頃に、手を繋いで学校に来たカップルがいて、その二人はその日に退学にされた。……僕はそれを見た時、理不尽だと思った。だから、僕が生徒会長になって、生徒一人ひとりを救いたかったんだ。これは、まわりからしたら、優秀で何でも出来る会長からの同情にしか聞こえないかもしれない。でも、まわりが僕をそう思うならそれでもいい。僕は相手のことを好きなら気持ちを伝えて、自由な恋愛をしてほしい」


「……」


ああ……こんな紅蓮だからこそ、俺はコイツを好きになったんだ。


自分のことよりも、他人のことを考え、思いやりがある紅蓮だからこそ……。


「冬夜、何ボーッとしてるの?」


「あ、いや……」


「雨、止んだから帰ろう」


「そうだな」


「それと、明日からは生徒会も忙しくなるから、遅刻しないように」


「……? なんで、明日からは忙しくなるんだ?」


「忘れたの、冬夜。一週間後は高校の文化祭だってこと」


「……あ……」


夏休みに肝試し大会やら、紅蓮が神崎紅などということを知ってから、紅蓮のことで頭がいっぱいで、他には何も考えていなかった。

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