青年は静かに語る

 フェイラストの過去を聞き終えた皆がはらはらしていた。脳が魔眼によって作られているなど、常識では考えられなかった。

「フェイラストの頭の中は大丈夫なの?」

 恐る恐るキャスライが聞く。フェイラストは彼の隣に座った。

「こうして生きてるから大丈夫だぜ。でも、いつか何か起きるんだろうよ。オレはまだ死ぬわけにはいかない。ただでさえ人間種族で命の時間が限られているんだ。医者として、できるところまでやるつもりだ」

「フェイラスト先生はすごいね」

 聖南が笑う。フェイラストも笑った。

「聖南姫もすげぇよ」

「えへへー!」

 視線を感じて振り向くと、黒いのがこちらを見ていた。

「どうしたよ、クロエ嬢」

「いや、魔眼の出どころが分からないとはいえさ。あんたさんの目となっているそれは、宿主を探していたんじゃないかと思ってね」

「宿主ねぇ。魔眼がオレに寄生したってことか?」

「そう思える。脳が食われたとき、宿主の危機に反応して、魔眼が神経を通じて脳のバックアップをおこなったような。・・・・・・私の推測だけどさ」

「なんにせよ、オレは魔眼に命を救われてんだ。一生付き合っていくつもりでいる。取り出そうにも、防御の術式がかかってるからよ。摘出はできねぇみたいだ」

 ふーむ、と黒いのが考えた。ルフィアがフェイラストに話しかける。

「ねぇ、もしかしてフェイラストに眼鏡をあげた人って」

「お? 知り合いか?」

「髪の色から推測すると、私のお父さんじゃないかな、って」

「創造源神様が眼鏡をくれたってかぁ? にわかには信じがたいけどよ。魔眼の効果を抑える眼鏡を創ったってことか?」

「お父さんは創造の神様だもの。それくらい創れそうだけど」

「不思議な話だな」

 おもむろにキャスライが立ち上がった。ラインとフェイラストが語りに使った椅子に座る。

「二人が全部話したんだ。僕も話すよ、師匠のこと」

 キャスライがにっこり笑う。

「どうして、会ったこともないラインのことを襲ったのかまで、きっちり話すよ」

 ラインが視線を向けている。彼に向かって笑顔をみせた。

「僕が、山を下りて、ベトリューガに拾われて。ラインを襲うまで。話せないところも少しあるけど、みんなに話すよ」


 キャスライは恥ずかしそうに話を始めた。

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