第14話
古泉が出ていったあと、依頼人が数人やってきた。ただ、なんとも奇妙なことに、どいつもこいつもあまり依頼する気がないような雰囲気だ。俺やハルヒ、朝比奈さんをじろっと見てしょうもないことをいい、やっぱりいいですと言って出ていった。ハルヒのイライラがY=X2乗の数式のごとく悪くなるのはどうしたらいいんだろうね。
「ねぇ、あんた難事件でも起こしてきなさいよ」
ハルヒが無茶苦茶なことを言う。助手が事件起こしてそのたびに解決ってただの迷惑な奴じゃねえか。
「冗談よ、あんたにできるのはみくるちゃんをニヤつきながら見るくらいだしね」
そうかもしれないが酷い言われようだ。
コンコン
「紅茶のおかわり持ってきましたぁ」
「ありがと、みくるちゃん」
ハルヒはぶすっとしたまま答えたので朝比奈さんがびくっとしていたがあのーっと何かそれ以外にも言おうともじもじしていた。
「えっと、新しいお客さんです」
朝比奈さんの後ろを見るとハンカチに顔をうずめた女性が立っていた。服装からしてブルジョアというかいいところのお人って感じだ。
「何の御用かしら」
「う、う、うちの子が…うちの子が…」
「何、誘拐?身代金を出せって言ってきた?警察に言ってないわよね?」
ハルヒ、人の不幸を喜ぶな。ところで、どっかで聞いたような声なんだが。その依頼人はぱっとハンカチを取ると涙ながらに叫んだ。
「うちのルソーがいなくなってしまったのねー!!!」
「阪中ーー!!!伏せろーーー!!! 」
…あれ、発砲がない。恐る恐るハルヒを見ると死んだ魚のような目で机に伏してブツブツ呟いていた。 それにしても、阪中さん?それって保健所とかが担当なんじゃないですか?
「迷子になっただけならそうするのね!でも、猫としゃべってどこかへ行ってしまったから心配しているのね!!!」
猫と喋ってた!?ととたんにハルヒの瞳の太陽が復活した。
「犬語をしゃべる猫!UMAじゃない!!!何か目立った特徴はないの、猫の方!!!」
阪中は犬を探しているんだがな。というか、今俺は猛烈に嫌な予感がビンビンするんだが。
「そ、それが…信じてくれないと思うけれど、その猫私にも話しかけてきたのね!!!それ以外はあまり特徴は…あ!その猫三毛猫だったのね!!!」
あんのアホ猫ーーーーーー!!!!!!!
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