第24話 愛無きセックス最高

 雪が俺の胸に顔をくっつける。


 雪のフェロモンが……股間から、大量に放出されているのが分かる。もわんもわん、甘い匂いが攻めてくる。


 おもわず、雪を抱きしめた。


 むぎゅ。むぎゅぎゅ。


 潰れた巨乳が……俺の身体に密着した。


 た、たまらん。ヤバい。緊急事態だ。このまま……夜の公園で……行為に及んでしまいそうだ。


 初体験が夜の公園、妹の親友(でもサキュバス)にリードされて、童貞喪失。


 ん? まてよ?


 なんか最高じゃないですか?


 今ここ、すなわちライトナウ・ライトヒアーで俺が童貞を捨てたとする。すると、未来の俺は魔法使いにならなくてすむ。エターナル童貞を回避できる。


 つーことは、Fさんがタイムリープする必要がなくなる。これでFさんも未来に帰れるんじゃないのか?


 もちろん、理想を言えば紗季と恋人になって、しかるべき順序を経て、そういう関係になりたい。お互い、愛し合って、納得して身体の関係を結びたい。


 だが、一方で、俺の男子高校生のダークな部分が「愛無きセックス最高じゃん」「セックスして嫌なら別れていいって、メリットしかない」「てかそれってセックスフレンド」と俺にささやく。


 俺は紗季が好きだ。紗季と付き合いたい。だがそれは俺の気持ちだ。


 紗季は……紗季は、俺を兄としてしか見ていないじゃないか。俺と付き合おうという気はない。ただ俺を独占したいだけだ。


 やがて紗季にも好きな人ができるだろう。そしてその男性と好き合うだろう。そうなれば、常識で考えて紗季は俺の夢に二度と出てこなくなる。好きな男性に淫夢を見せるのに決まっているのだ。


 つまり、紗季との夢のなかにおけるエロい関係は、永遠には続かない。


 つまり、俺はエターナル童貞への道を進むのだ。


 それは避けたい。Fさんすなわち俺の未来のためにも。


 雪を見る。

 

 客観的には、かわいい。いや、かなり、かわいい。美人ではないかもしれないが、その超高校生級の巨乳とセットで考えれば、交際を求められて断る男子はいないといっても良いくらいだ。


 よし。俺は決心した。雪と付き合おう。


「雪ちゃん……俺なんかでいいのか?」

 コク、と雪が頷く。


「……付き合ってくれるんですね?」

 雪が俺をじっと見つけた。


「ああ、よろしくな、雪ちゃん」と言おうとしたその瞬間だった。


「ダメーっ!」

 いきなり声がした。雪を羽交い締めにして、俺から雪を引き離した。

「きゃっ!」と雪が叫ぶ。


「何をする!」

 俺は立ち上がり、雪を羽交い締めにしている人物に向かって怒鳴った。


「兄貴、だめーっ! 雪と付き合っちゃだめーっ!」

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