第18話 超高校生級巨乳

 Fさんが公園に帰っていったあと、俺は昼食を食べてから、自分の部屋で勉強した。


 12時半ごろ、インターホンが鳴った。画面を見ると女子高生の姿が映っていた。


 下村雪だ。


「はい、どなたですか」

 分かっていたが、一応言ってみた。

『あの、下村といいます。紗季さん、いますか?』

 インターホンモニターの雪が言った。

「雪ちゃんか。紗季ならいないよ」

『え……どうしよう……』

「待っててね。今そちらへ行くからさ」


 玄関を開け、雪と対面した。

「あ、健太さん……健太さんだったんですか? インターホン」

「この時間は俺しかいないからね」

「ですよね……あの、紗季ちゃん、まだ帰ってきていませんか?」

「まだだ。ていうか、今日も雪ちゃんの家で勉強じゃなかったの?」

「今日は、紗季ちゃんの家で勉強することになってたんです。あれ、おかしいな……。紗季ちゃんに連絡してみなくちゃ……」

 雪は鞄を開け、スマホを取り出そうとした。


「あれ……スマホ……ない。家に忘れて来ちゃったのかも……」

 何度も鞄を探るが、見つからないようだ。

「今日の日差し強いし、このままだと熱中症になる。家の中に入ろう」

「いいんですか?」

「もちろん。さ、上がって」


 失礼しますと言いながら、玄関で雪が靴を脱ぐ。前屈みになったせいで、胸元がよく見える。ピンクのブラジャーと豊満な乳房の一部がよく見えた。


 確かに凄い巨乳だ。超高校生級だ。幼い、おとなしい外見とのギャップの著しいことといったらない。


 すごく……すごく、えっちだ。


 ――紗季の部屋に呼べばいい。あのフェロモンだらけの部屋なら、簡単に欲情してパンツ脱ぐぞ。


 さっきのFさんの言葉が俺の脳内で響く。

 無理矢理関係を持つのは良くない。


 だが、相手が望んでいれば?


 セックスしたからって、かならず付き合うわけでもない、もっと言えば、別に恋愛感情なくても成り行きでそういう関係になることはある。


 ……よな?


「と、とりあず、紗季の部屋で待たないか? 紗季には俺から連絡してみる」

「ありがとうございます」

 雪を紗季の部屋に案内する。

「おじゃましまーす。わー紗季ちゃんの部屋、かわいー」

 雪が紗季の部屋に入る。


「暑いですねー」

 雪がスカートの裾をつまんでバタバタし始めた。もわん、とかすかに甘い匂いがした。女子の汗の匂いだろうか。童貞には刺激が強い。

「すぐエアコンのスイッチ入れるからな」

 紗季の机の上にあるエアコンのリモコンでスイッチを入れる。と同時に、俺は紗季のスマホを発見してしまった。電源をオフにして机の上に置きっぱなしだ。

「そうだった」

「どうしたんですか?」と雪が聞く。

「紗季はテスト期間中はスマホを学校に持っていかないんだ。電源切り忘れて試験中にアラームが鳴ったり、着信したりしたら、カンニング扱いされるじゃないか」

「ええ」

「だから紗季はテスト期間中はスマホを家に置いていくんだ。家にスマホを置いておけば、試験中、スマホが教室で鳴動することは絶対ないだろ?」

「なるほど……紗季ちゃん、かしこい」

 雪が感心する。


「かしこいのはいいとして、どうしよう。連絡出来ないぞ」

「そうですね……えっと、ここで待ってていいですか?」

「え? でも、紗季は雪ちゃんの家だろ?」

「たぶん、お母さんが紗季ちゃんに言うと思うんです。私が今日紗季ちゃんちに行くって言ってたって。だから、待っていれば、紗季ちゃん、こっちに来ると思います」

「お母さん、パートに出てるんじゃ?」

「あ、パート、1時からなんです。まだ家にいるはずです」

 なるほど。

「……紗季ちゃん、今頃私の家です。私の家ちょっと遠いから……自転車なら20分だけど、バスと歩きだったら待ち時間入れて40分くらいかかるかな……」


 40分か。俺はいけない妄想をしてしまった。充分だな、えっちなことするには。

 やはり紗季のフェロモンの影響なんだろう。思考がどうしてもそういう方向に向かう。


「わかった。じゃ、ここで待っててね、雪ちゃん。アイスティーでも持ってくるよ」

 とにかく、この部屋を出よう。フェロモンの影響から脱しなければ。

「わーありがとうございます!」

 雪が紗季の勉強机の椅子に座る。スカートがめくれ上がり、ふとももが丸見えだ。あと、股が少し開いている。ちゃんと閉じられていない。


 パンツが見えるわけではないが、ふともものかなり内側が見える。

 俺は見えそうで見えない股の奥が気になってしょうがない。ああ、やわらかいふとももに指を食い込ませ、あの足を開きたい。やめてください、と恥じらう雪ちゃんの顔が見たい……。


 ぐはう! だめだ。欲望に負けるな! 俺!


「紗季ちゃんの部屋かわいー」

 雪は椅子に座ってくるくる回転してながら、部屋を観察している。くるくる回る都度、彼女の股の間からもわん、といい匂いがする。その匂いをかぐたびに、俺の理性がどんどん蒸発していきそうだ。


 ん? 理性が飛ぶ?


 あ。……フェロモンだ、これ。


 フェロモンはサキュバスの専売特許ではない。人間だって微量ながらフェロモンを持っているそうだ。おそらく、紗季のフェロモンが雪を刺激し、雪からフェロモンが出ているのだろう。雪の場合、フェロモンが出ているのは……股間、すなわち……。


 だめだ、鼻血が出そうだ。一刻も早くここを離脱しなければ。


「じゃ、しばらく待ってくれ」

 そう言って俺は雪に背を向け、部屋を出ようとした。


「……こんな感じですか?」

 後ろを向いた俺の背後から、いきなり、雪が抱きついてきた。両手を俺のへそのあたりで交差させている。

「な、なにが?」

「……紗希ちゃんと、毎日こんな感じなんですか?」

 雪の豊満かつ柔和な胸の感触が、俺の背中に伝わってきた。


「あの雪ちゃん、意味が分らないんだけど」

「朝、紗希ちゃん、健太さんに、すごく、おっぱいくっつけてましたよね……」

 朝のアレか。やっぱり、見られていたんだ。

「あれね、ああ、あれ。そうか? 全然押しつけていなかったと思うんだけどな」

「嘘です。すごい、押しつけていました。何も感じないわけありません」

 雪は断言した。


「……兄妹なのに付き合っているって噂、本当なんですか?」

 雪が俺の背中に頭をくっつけながら言った。

「まさか。兄妹だぞ。付き合ったりするわけ無いだろう」

「でも、今日、腕組んでたし……」

「なんだ、たまにじゃれ合うことはあるさ」

「……だめですか?」

「え?」


 俺は思わず振り返った。雪の手がすっとほどけ、雪が俺の背中から離れ、俺と雪は向かい合った。

 雪は下を向いていたが、思い切ったように、顔を上げ、まっすぐ俺の目を見た。


「私じゃダメですか? 私、健太さんのこと、好きなんです。私が彼女じゃダメですか?」

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