第17話 下村雪ならヤれる

「下村雪? 雪ちゃんとならヤれる? どういうことですか?」

 俺は聞いた。


「さっきも言ったが、今日、俺はお前ら兄妹を観察していた。そこに、下村雪が現れた。P君も知っている通り、紗季の友人だ」

「ええ」

「その下村雪だが、明らかに、彼女はP君が好きだ。P君に胸を押し付ける紗季に、露骨に嫉妬していた。私だってできるもん! もっとすごいことできるんだもの! そんな感じの目だったな、あれは」


 Fさんが自信たっぷりに言った。どこからその自信は湧いてくるのだろう。


「ということだよ、P君。下村雪ならヤれる。どうにかして今日、家に呼べ。紗季の部屋に呼べばいい。あのフェロモンだらけの部屋なら、簡単に欲情して濡れまくり。自分からパンツを脱いで股を開くぞ。……やべ、興奮してきた」

 Fさんが股間を抑えた。


「いちいち表現が下品ですよ、Fさん!」

「細かいことは気にするな。下村雪、あの大人しいJK、制服で押さえつけられているから分かりにくいけど、けっこうな巨乳だぞ。あ、思い出した。この夏、あの娘と紗季と俺とで海行くぞ。水着がすごかった。すんごい巨乳なんだ。ぷるんぷるんの、たゆんたゆん。水着がぱっつんぱっつんで、乳首の形が分かるんだよ!」


 Fさんは「ぐへへ」とだらしなく口を開けて遠い目をした。


「あの巨乳だったら文句無いだろ。お前が紗季のようなスッとした美人が好みだってのは知っている。だがな、お前だって巨乳は嫌いじゃないだろ? 俺が嫌いじゃないんだからきっとそうだ。あの娘の巨乳は本当にすげーって。巨乳目当ての愛無きセックス。どうだ? これならいいだろ?」

 と、Fさんが言った。


「……雪ちゃんの純情を利用して、好きでもないのに肉体関係、ですか?」

 Fさんが目を輝かせた。


「その通り! 最高じゃん! あの巨乳でいろんなプレイ楽しめよ! あ、挿れる前に出すなよ! 出すときは、ちゃんとあそこだ! 気持ちよくてもおっぱいに出しちゃダメだぞ? あ、そうそう、これ」


 そう言って、Fさんは小さな箱をくれた。


「なんですか、これ?」

 俺は聞いた。


「コンドームだ。12個入り。お前の親父の部屋から貰っといた」

「え?」

「気にすんな。この前言ったろ? もうすぐ親父は本格的にEDだ。どうせ使わないから」

「いえ、そうじゃなくて……」


 親父のコンドームをいきなり見せつけられて、平穏な息子がいると思うのか?

 おまけに、それを使えと。


「避妊だけはしないとな。男子としての基本的なマナーだ。あ、12個あるからって、全部使うなよ、ハハハ」


 ハハハじゃねーよ。


「……せっかくのご提案ですが、雪ちゃん、今日俺の家に呼ぶのは不可能ですよ」

 俺はコンドームを突っ返しながら言った。

「なんでだ?」

「今日、雪ちゃんちで紗季が勉強しますから。2人いつも一緒ですから。雪ちゃんだけ、俺の家に呼ぶなんて無理ですよ」


「うーむ、それは困った……。よし、発想の転換だ」

 Fさんが言った。


「P君が下村雪の家に行けばいいんだ。紗季が帰った後に。紗季のフェロモンが染みついたものを持っていけば秒殺でパンツ脱ぐぞ」

「紗季は毎日雪ちゃんちで5時くらいまで勉強してます。その後の時間は雪ちゃんのお母さんがパートから帰ってくる時間ですよ、確か」と俺。


「なんか問題あるのか?」

「……同じ屋根の下、雪ちゃんの親がいる状況で、どうしてえっちなんか出来ますか! バレますよ!」

「声の問題か。それなら簡単だ。脱がせたパンツを丸めて口に押し込めばいい。声が押し殺される」


 自信たっぷりにFさんは言った。


「それじゃレイプですよ!」

「おう、そんな感じ。興奮しないか?」


 ダメだ。このクソおっさん、童貞通り越して性犯罪予備軍だ。やっぱ殺すべきではないのか。ていうか、今ここで俺が死ねば未来の俺も死ぬじゃないか。そうするのが世界平和のためだというのなら、俺は今すぐ死ぬぞ。


「そうだ、こうしよう。P君が下村雪の部屋に突入した後、俺がピンポン鳴らす。出てきた下村雪の母を引きつけておく。どうだ?」

「どうやって引きつけるんですか?」

「しつこい新聞勧誘になりすます」

 確かに、こんな容貌のしつこい新聞勧誘員いそうだ。


「ということで、今日の夕方ミッション開始だ。ピンポンが鳴ったらすぐに下村雪に抱きつき、パンツ脱がせる。俺が下村母を引きつけるが、声がしてはまずい。ということで、念のため脱がせたパンツは丸めて口に入れる。抵抗されてもお構いなしにさっさとコンドーム装着して挿入だ。いいな、ちくしょう。興奮するぜ全く。必ずやれよ。俺との約束だ」


 Fさんはそう言って、コンドームを再び俺の手に突っ返した。


 そんな約束できるかよ。

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