第13話 紗季の身体

 Fさんが帰った後、俺は遅めの昼食を食べ、仮眠を取った。


 目が覚めたときにはすでに夕方で、俺以外の家族は晩飯を食べていた。仮眠から起きたばかりの俺は食欲が湧かなかった。なので、先に風呂に入ることにした。昨日のこともあるし、紗季より前に風呂に入る方がいいだろう。


 風呂に入り、晩飯を食べ、俺は自分の部屋に戻った。

 とりあえず明日のテスト勉強だ。かなりやばい。

「あーにーきー」

 ノックもせずに紗季が俺の部屋に入ってきた。もうパジャマになっている。

「おいおい、ノックくらいしろよ」

「ごめんね。えっちな動画とか見てた?」

「見てない」

 紗季がこういう冗談を言うとは思わなかった。

 やはり、俺たちの関係性はだいぶ変わった。


「今日、家に帰ってから全然話してないね」

「そういやそうだな」

「なんで?」

 紗季が俺のベッドの上にごろんとなる。無邪気に足を開いているが、パジャマなのでエロくはない。

「うーん、昼間寝てたしな。晩飯の時間に先に風呂に入ったし。俺が飯食っているときは紗季が風呂に入ってたし。すれ違いだな」

「そっか、すれ違いか」

「そう、すれ違い」

 俺は言った。

「じゃね、あとでね」

 と紗季は言って、ベッドから起き上がった。


「……今日は、ちゃんと寝てね、兄貴。今日こそ……なんだからねっ!」

「ああ」

 紗季は自分の部屋に戻っていった。


 2時間ほど勉強したところで睡魔が襲ってきた。

 俺は寝ることにした。ベッドに潜り込む。昼に仮眠したとはいえ昨日は徹夜だ。俺はあっという間に寝てしまった。


 ………………。


 どれくらい寝たのだろうか。


 ふと気がつくと、俺は真夏のビーチにいた。……ビーチパラソルの下で寝ている。

 「……兄貴ぃ、兄貴ぃ!」

 紗季の声が聞こえた。声はだんだんと近づいてくる。

「寝てた?」

 目を開けると、紗季がいた。

「ああ、寝てた」


 俺は夢を見ていたようだ。てっきり部屋でテスト勉強して寝たもんだと思っていたが。


 ……いや。


 まてよ。


 違う。


 こっちの方が夢だ。


 これは紗季が俺に見せている淫夢だ。


「兄貴、もう起きてよー」

 紗季は水着だった。黄色のビキニだ。生地がかなり薄いようで、ブラの上からでも乳首の形が丸わかりだ。下も……透けていた。

「エロいでしょ」

 前屈みになって、寝ている俺に話しかけた。

「あ、ああ、エロいな」

「一緒に泳ごうよ」

 紗季が俺の手を取る。俺は起き上がって、紗季と一緒に砂浜を歩いた。

 そのまま準備運動もなしに海に入る。


「気持ちいーねー」

 紗季が笑う。

「ああ、気持ちいいな」

「きゃっ!」

 大きめの波が、紗季の身体を俺にぶつけてきたため、紗季と抱き合うような形になった。

 紗季の胸が俺の胸に当たり、脚が交差する。股間と股間がダイレクトに接触した。


「す、すまん、波が……」

 再び強い波が来た。サキが倒れそうになる。あわてて紗季を抱きしめる。

 波は思いのほか強く、俺の両手は紗季の尻を鷲掴みする形になった。同時に、紗季の首と俺の首が絡まる。

「もう、兄貴ったら、どさくさに紛れてお尻触ったでしょ。あ、今も触ってる」

「わ。わざとじゃないぞ。波が……」

「えー、ホントかなぁ」

 紗季が意地悪く笑った。


「じゃあ、これはどう?」

 紗季は胸をぐいぐい押しつけてきた。乳房と乳首の感触が布地越しに伝わってくる。

「あん……。わざとじゃないんだからね。波のせいだからね!」

「そ、そうだな。波のせいだ」

「えーほんとにー? えいえい。これも波のせいだからね」

 紗季が俺の首をペロリとなめた。というか、キス?

「んぱ……ねえ、兄貴。……興奮してこない?」

「そうだな、し、してるかな?」

「……キスしよ、兄貴。もっと興奮するよ……。興奮した血でないと、私、死んじゃうの。私のために、キスして……」

 紗季が俺の耳元でささやいた。


 水着。尻。胸。キス。

 そうか。

 これが「大胆サービス」か。


「あ、うん、えーと……いいのか?」

「兄貴がうーんとえっちな気持ちになったほうが、私の健康のためなんだよ」

「そ、そうか。そうだな」

「そうなの! はい、兄貴。サービスだよっ!」

 そう言うと、紗季は俺にキスした。

「舌も入れるよ……」

 紗季の舌が俺の口に入ってきた。軽く歯で噛んでみる。

「あん、兄貴、エロい。キスの経験あるの?」

「いや……ない。お前はあるのか?」

「兄貴サイテー。女の子にそういうこと聞かないの!」


 紗季がキスを中断して、俺に言った。

「……サキュバスだから、身体が自然に動いちゃうのよ。軽蔑した?」

「しないさ」

 再び俺たちはキスをした。俺は紗季の身体をまさぐり、紗季も俺の身体をまさぐった。


 ヤりたい。紗季とヤりたい。このまま、砂浜に上がり、パラソルの下で、ビキニを脱がして一気に挿れたい。もう我慢できない。頭がどうにかなりそうだ。

「紗季、あのな、俺……」


 その時だった。すーっと気持ちが落ち着いてきた。

 紗季が俺の首から血を吸っていたのだ。

 紗季は血を吸い終え、俺の首から口を離した。


「……あー、美味しかった。兄貴、今日凄かったよ。すんごく濃かった! どろっどろだったよ!」

 無邪気に笑う紗季。

「今日の私、エロかった? 結構、頑張ったんだよ」

「そうだな、かなりエロかった。最高にエロかったぞ」


 賢者タイムになった俺は冷静に紗季に返事をした。


「……こんなにえっちな女の子、嫌い?」

「しないさ。だって、そうしないと、死んでしまうんだろ?」

「……うん」

「本当の紗季は誰にでもえっちなことをする子じゃないって知ってる。俺にだけだろ? こうしてくれるのは」

「もちろんだよ」

「俺はお前の兄だ。お前のためなら、なんでもするよ」

「ありがとね、お兄ちゃん」

 紗季が言った。


 俺たちは浜辺へ戻り、2人並んでパラソルの下で寝転んだ。


 そこで、目が覚めた。時計を見る。5時半だった。


「……結局しなかったな」

 

 どうしよう。このまま、明日も出来なかったら、Fさん、何をしでかすか分からない。強引にでも、ヤったほうが良かったんだろか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る