episode2 #5「炎刀・黒龍刃」

 ---柑菜との攻防が続いて10分、突然柑菜の動きが止まった。


 「??」


 (急に動きが止まった?)


 柑菜は両腕を降ろして完全に無防備の状態になっていた。


 (今ならイケるか?)


 炎美は一気に距離を詰めようと柑菜に向かって走り出した。気絶させて戦闘不能にしようと考えたのだ。


 しかしその前に柑菜は両腕を広げた。


 「我が血闘に大いなる力を与えたまえ」


 「? 何だ?」


 すると柑菜は何かブツブツと言っている。


 「ターゲット確保(ロック)、逃がさないで!自動追尾・鬼蜂(ロックオン・デビル)」


 柑菜は両腕を広げたまま鬼蜂を撃ちまくった。すると撃った弾は真っ直ぐにいかず炎美の方に向かっていった。


 「なっ!!」


 足に急ブレーキをかけ後ろに振り返り逃げたす炎美。


 「無駄よ!!」


 柑菜はドンドン撃ってくるが全弾炎美に向かって飛んでくる。逃げる炎美だが逃げても逃げても追いかけてくる。


 「くっ、何だコレ!」


 必死に逃げてる炎美。


 「この技は私が決めたターゲットを追尾するのよ! 何処に逃げようがあたるまで追いかけるのよ!逃げたって無駄よ!」


 柑菜は炎美に本気を出させ様としていた。炎美はその事に薄々気づいていた。


 (でもどうしたらいいんだ?)


 あの時の事をふと思い出した。


 (あの時確か何か呟いていた様な…)


 炎美は立ち止まり柑菜の方に向いた。


 「奮い立て、我が血闘よ!」


 「!!」


 炎美の言葉に柑菜だけでなく外野(そと)に居た志村と細谷も驚いていた。


 「まさか、そんな馬鹿な!!」


 細谷は少し取り乱した様に言った。志村も何か思い悩んでいるかの様に渋い顔している。


 (彼もまさか私達と同じ能力を…)


 しかし柑菜の撃った弾は炎美に向かってきていた。


 ---ドオオオオオーーーーーン!!!!!


 時既に遅く炎美に向かってきた弾は全弾命中した!そして命中した弾から煙が出てきた。


 「やったの?」


 すると煙の中から強烈な風が吹いてきた。


 「闇を司(つかさど)れ、炎刀・黒龍刃(えんとう・こくりゅうじん)!」


 煙の中から炎美が現れたかと思うと炎美の右腕にはあの時の黒い剣が付いていた。


 「やっと、本気出したわね!!」


 柑菜は何だか少し嬉しそうな顔している。


 「本気でいかさせてもらうぞ、柑菜!」


 「いいわよ、かかってきなよ!!」


 そして炎美VS柑菜の第2ラウンドの始まりであった。

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