67話目 式典

更新遅れて申し訳ございませんm(_ _)m

再開します。


――――――――――――――――――――――――――――――


「俺と一緒にいるって、王女だからそんなことできないだろう?」

「大丈夫、この目を知った時にいずれは来るだろうと言っていた」

「随分あっさりした親だね……」

「運命だから」


 それで納得したのかよ!


「もっと自分のやりたいこととかあったんじゃないの?」

「家にいても長女だから嫁ぐしかない。それならここから出たい」

「そういうことか……」


 地位がある者だとよくあることだ。

 普通は長男が親の仕事を引き継ぎ、娘はコネクションのために他の家系と結婚する。

 俺はこのシステムは嫌いだ。

 娘を道具にしか見てない、そんなやり方が嫌でしょうがない。


「わかった。メンディちゃんがそれでいいなら」

「じゃあ戻ろう」


*


 場所は移動し、城の休憩所。

 俺たちがいないことに気づき、二人を待とうということになったみたいだ。


「ジルー!」

「っと、シロか」

「勝手に行かないでよ!先生も言っていたじゃん!」

「ごめんごめん、気を付けるよ」


 それはランダ王国に来るまでの道中だ。

 ここではぐれても結局は城に行けば会うんだから。


「メンディこそ。どこに行っていたんだ?」

「これ、確認していた」

「!? 本当か!」

「うん、水晶でも同じ反応だった」


 国王は急に立ち上がると、俺のほうへ小走りでやってきた。

 そして俺の方をガシッとつかんだ


「ふうむ、この子が」

「いたい!いたいから!」

「す、すまない。しかしこの子が」


 子供相手にマジの力で抑えないでくれよ。


「メンディから聞かされたと思うが、そのことは他言しないようにしてくれ」

「なんで?」

「危険が伴うからだ。その存在を嫌う者も存在する、ということだ」


 なるほど。

 自ら闇へと行く人もいる。

 そういう人からは嫌な目で見られているんだろう。


「わかった。言わないようにしておくよ」

「理解が早くて助かる。今式典準備をしているから座って待っていてくれ」


 式典?

 初耳なんだけど。

 とりあえずみんながいるところに座った。


「ジルー、何になったのー?」

「……今の話聞いていた?教えちゃダメだって言っていただろう?」

「何になったのー?」

「小声で聞いてもダメ!」


 みんなは聞いちゃダメって分かっているのに容赦なく聞くなよ!

 ペイルも…いや、ペイルはおやつに夢中だった。


「国王様、式典の準備が整いました」

「うむ、では皆行こうか」

「みんな頑張ってきてねー!」

「先生たちは?」

「私たちはお留守番よ」

「今回の件、みんなの誘導しかしていなかったからね」

「何をしている、二人も行くぞ」

「「えっ!?」」


 国王の言葉に驚くユリ先生とシルヴィ先生。

 先生たちも聞いていなかったのか。


「今回は学校全員に勲章を渡そうとしたんだ。二人は的確な指示で生徒を守ったんだ。校長の変わりだが、代表で出てもらうぞ」

「それなら校長に」

「そう書いたんだが、なぜか君たち二人が来てしまったのでな」

「「あの女ああ!!」」


 珍しく二人が怒っている。

 そんなに式典が嫌だったのか。


「それで俺たちはどうすればいいんだ?」

「そういえばジルはいなかったから聞いていないか。まずは――」


 ガウが詳しく教えてくれた。


 まずは国王と王妃が入る。

 中で前置きを言う。

 その後、「入れ」と言われるからその時に中に入る。

 そして順番に止まって、片膝をつく。

 その後はひたすら話を聞くだけ。

 名前を呼ばれたら「はっ!」と言えば良いらしい。


 なるほど、そりゃあ先生たちも嫌がるわけだ。

 ただただめんどくさいだけだ。


「みんな!そろそろ呼ばれるから気を引き締めて!」

「「「「「はーい!」」」」」


 心なしか、アメグラと戦った時より緊張する。


「では入りたまえ」


 国王の言葉が聞こえると、扉が開き始めた。

 後は聞いた通り、中へ入っていった。


 横目で周りをみてみると、服装からして貴族の人達だらけだ。

 やばい、余計に緊張してきた。


「ジークシル・アウラティア」

「はっ!」


 いきなりかよ!

 よかった、気を張っていなかったら聞き逃していた。


「シロ・アウラティア」

「はっぃ!」


 ちっちゃい声で「い」って言ったよね?

 いい慣れてないからそんなことになるのか。


「ペイル・アウラティラ」

「はっ!」


 ペイルは問題なく言えているし。

 頑張ってくれ、お姉ちゃん。


 そこからは1人1人名前を呼ばれては返事を繰り返した。

 その後、学校での出来事を簡潔に話し、少し空白が空くと、貴族の人達が拍手をした。

 正直、途中から難しいことばかり言っていたため話を聞いていなかった。


「以上よりここにいる子供たち、また教師に『星十字架の証』を与えようと考えている」

「「「「「!?!?」」」」」


 周りに貴族達がざわめき始めた。

 俺でもその名前を知っている。

 星十字架の証はランダ王国における一番の証で、歴史に名を残す者がもつ証だ。


 どうやら俺たちは、伝説の人物へと一歩進んでしまった。

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