2001年9月16日(日) 前半
過去に書いたものに、判明した新事実を加えて補足。
冷静になって考えていくと、ある程度、謎が分かりかけてきた気がする。
第1の事件
1980年(21年前)発生
被害者……岡部愛子(16歳・M高校1年生)
M高校地下室で斬殺されていたところを、地元の暴走族によって発見される(当時の新聞記事により判明)。
当時の地下室は施錠もされておらず、M高校の生徒はもちろん、近隣の不良たちもすぐに入ることができた。
遺体は右手人差し指が切断され、天井から糸で吊るされていた(指風鈴)。そんなことをした理由は不明。
愛子には2学年上に、兄がいた。名前は岡部義太郎。
義太郎は2年生のときに体育祭実行委員をやっている。
その後、義太郎はM高校を卒業したらしいが、しかし岡部義太郎の卒業作文は、卒業文集から破り取られていた。
岡部義太郎と愛子は、この当時、実の兄妹でありながら恋人同士。
すなわち近親相姦の関係にあった(山本キキラの日記より)。
この事実から岡部義太郎は愛子殺しの容疑者となったが、指風鈴の糸に付着していた指紋が、義太郎のものではなかったことで、容疑から外れる。指紋の正体は不明。
そして義太郎は、愛子が殺されたショックが原因か、引きこもりをはじめ、82年から88年までは海外で生活。
その後、少女と見れば声をかけまくり、場合によっては襲う犯罪者となり、最終的には自殺する。声をかける内容は、不眠症状を訴えるものや、許しを乞うようなもの、また自分が無実であることを主張しているものが多い。
また岡部愛子は、のちに第2の事件の被害者となる北条凛とクラスメイトだった。
ただし、どれくらい親しかったかは不明。学生時代の北条凛は文学部所属だった。
愛子を殺害可能な人物は(これまでに知った人物の中では)岡部義太郎、北条凛のふたりしかいないが、義太郎は指紋の問題から容疑より外されている。ならば北条凛が殺害したのか?
後述する第2の事件と関連して考えると、その可能性はある。動機については、これまた後述する北条凛の卒業文集から推測するに、恋愛沙汰で揉めたか?
第2の事件
1987年(14年前)発生
被害者……北条凛(23歳・M高校国語教師)
遺体発見の2日前より行方不明。
心配した家族が警察に捜索願を出し、地元警察がもしやと思って、M高校地下室に入ったところ、撲殺死体となって発見された。
岡部愛子と同様に、再び指風鈴状態であった(当時の新聞記事より)。やはり意図は不明。
M高校地下室は第1の事件を受けて、厳重に施錠され閉鎖されていたが、学園東側の雑木林に抜け穴があり、学生たちは時おり肝試しのように侵入していたという(当時の新聞記事より)。
当時の新聞部の新聞によると、第1の事件は恋人たちの心中という話に変容しており、学生たちの間では、地下室は愛の聖地ということになっていた模様。
また1987年当時、のちにM高校の教師となる工藤桃花が1年生として在籍している。工藤桃花教諭は、前述の『恋の聖地』伝説を知っており、かつ信じ込んでいるような口ぶりであった(ということは、工藤桃花もまた、M高校地下室に当時入っていた?)。
なお北条凛は、1983年にM高校を卒業したとき、異様な作文(袴田みなも日記 7月13日にコピーを貼り付け)を残している。意味は不明。
また北条凛は、1986年に『方丈凛』名義で短編小説を発表していた疑惑あり。内容が事実に基づいたものなのか、フィクションなのかは不明。
(これらの作文や小説から推測するに、北条凛は第1の事件時点で誰かに片想いをしており――その対象は岡部義太郎か?――そのために岡部愛子を殺害したと考えられなくもないが……ただそう考えると、文集の作文は全体的に意味が不明瞭でまるで伝わらない)
1987年時点での岡部義太郎は外国で生活中である。日本に帰国した形跡はない。
殺害可能な人物は(これまでに知った人物の中では)工藤桃花しかいない。
工藤桃花と北条凛の関係は不明だが、工藤桃花の第1の事件への思い入れ(御堂若菜日記 7月17日)を考えると、第1の事件関連でなんらかの接触、トラブルがあり、工藤桃花が北条凛を殺害した可能性がある。工藤桃花は独り言で『正当防衛なの。正当防衛』と発言しており(袴田みなも日記 8月7日)、これはなんの証拠もなく推測に過ぎないが、工藤桃花は正当防衛に近い状態で、北条凛を殺したのではないか。
すなわち北条凛は、第1の事件の犯人であり、それをなんらかの形で知った工藤桃花(恋人たちの聖地として地下室に何度か行っていたようだから、そこで気が付いた?)が襲われ、しかし正当防衛で反撃、北条凛を殺害したのではないか……。
ただしこの推理でも、指風鈴をする意味が第1・第2の事件共に謎である。
第3の事件
1994年(7年前)発生
被害者……三段坂夏美(17歳・M高校2年生)
M高校地下室にて絞殺死体として発見。やはり指風鈴。
過去2回の事件を受けて、地下室埋め立て工事計画が進み、東側の雑木林の抜け穴は塞がれた。
しかしその後は、工事関係者が次々と病死するので業者が尻込み。しかし最終的に袴田工務店が埋め立て工事を引き受けた。工事のために地下室を2日ほど開けたときがあり、その間に何者かが被害者を絞殺、指風鈴状態にしたと思われる(なお業者の連続死はただの偶然だというのが、私の父の意見)。
被害者は素行に問題があり、売春行為を行っていたという情報が当時の週刊誌に掲載(図書館にあった記事より)。
買春行為を行った男性は岡部義太郎のようだが、証拠不十分で逮捕されず(山本キキラの日記より)
このときの事件がきっかけで、地下室はいよいよ呪いの場所といううわさが広まり、袴田工務店も工事から手を引く。
1994年時点で工藤桃花は東京の大学に通っていたため、殺害可能な人物は(これまでに知った人物の中では)岡部義太郎しかいない。ただ、証拠はない。
そしてやはり、指風鈴をする意味が不明。
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