　今日は学校の図書室に赴いた。

　Ｍ高校の図書室は、あまり品ぞろえがよくない。

　小説も古いものばかりだったり、全８巻のものが３巻だけ欠けていたりする。

　それでも、学校の中にあるものだから、やはり利用してしまう。もっと本を読みたいから。

　買うのが一番なんだろうけど……。おこづかい、少ないもの。うちはお金持ちだって言われることがあるけれど、お金を持っているのはお父さん。私は貧乏な女子高生。

　ところで最近、私がハマっている本がある。

　それは卒業文集。過去にＭ高校を卒業した生徒が、卒業間近に書いた作文がまとめられたもの。

　これを読むのが好き。……変わってるって言われそうだから、誰にも言ったことはないけれど。

　なぜ、読むようになったのか。それは卒業文集に、その人の人生が詰まっているから。そして未来を想像すると、とても楽しいから。

　夢はパティシエになること、と言って専門学校に進んだ女子生徒がいる。……その後、夢は叶えたのかしら？

　自分探しの旅に出る、と言って進学も就職もしなかった男子生徒がいる。……その後、自分は見つかったのかしら？

　好きな人と２５歳までに結婚したい、と言っている女子生徒もいた。……その後、結婚はできたのかしら？

　想像するだけで、ぞくぞくする。

　その人の人生、未来、夢、希望。

　彼ら彼女らは、どこかで果てたのか、それとも前へと進めたのか。

　先にあったのは希望かしら、それとも絶望かしら。それを考えるだけでとても愉快。

　……悪趣味かもね？

　今日図書室で借りたのは、１９年前にＭ高校を卒業した生徒たちの文集。

　先ほど、ざーっと大まかに読んでみたけれど、やっぱり面白そうな作文がある。

　一番面白そうなのは、このひとね。１９年前に卒業した女子生徒。

　名前は、北条凛（ほうじょうりん）、というのね。

　楽しい作文を書いているわよ、このひと。……笑っちゃうくらい。

　時間が取れたら、このひとの作文、コンビニでコピーしておきたいわ。

　それくらい、面白いの。

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