2001年8月23日(木)

 考えたら


 うちは若菜っちのおそうしきにも出なかった


 あれだけなかよかったのに あれだけいっしょだったのに


 パニックになってこわくって いけなかった


 ごめん、若菜っち




 若菜っちの家にいって、お父さんとお母さんに会った。


 ふたりとも、すごくやせてた


 でも、すごくいいお父さんたちだった


 うちの親もこんなひとたちならいいのに、って思った




 それから若菜っちの部屋に通してもらって


 若菜っちのにおいをひさしぶりにかいだ




 泣いた




 もう会えないんだ


 一生、もう、会えないんだ


 体育のとき、貧血起こしたのをうちとみなもっちが助けたんだ


 保健室まで送っていったんだ それがはじまりだったんだ


 女の子だけであちこちいったね


 天神でクレープも食べたし


 プリクラもとった


 ハンバーガーも食べたし


 マンガを貸してくれたこともあった


 天ヶ瀬と長谷川もいっしょにいて


 カラオケとか海にもいったね




 わかんない


 なんでこんなことになったのか


 うちは若菜っちの家を出てから 長谷川の家にも行こうと思ったけど


 考えたらうちはあいつの家を知らんかった




 友達なのに


 知らないこと多いね


 だから友達でいられたんかもしれんけど




 もう


 あのころには戻れん、ね




 ひどすぎる




 なんなんこの現実……








 あと


 若菜っちの部屋で日記を見つけた


 中身、よみたかった いけないかもしれないけど みたかった


 迷ったけど、むこうのお母さんから「少しの間なら、借りていってもいい」って言われたから借りた




 中をよんで





 また泣いた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る