第183話健に相談するとその2
それを聞いた健は、徹也に次のような質問をした。
「その女の子って、ルックスはお前さん的には、どうなんだい?」
「ああ……。俺的には可愛い部類に入るよ。髪は茶色く染めているけど、ロングヘアーだし、茶髪は以外と似合っているからね」
健の質問と、それに対する徹也の回答は、まだ続いた。
「脚のラインはどうなんだい? お前さんはそこだけは譲れないのだろう?」
「ああ、きれいな細いラインの脚をしているよ」
すると徹也は健に、次のように今日子のことを、話として持ち出した。
「でも、俺には今日子が手に入るとは、どうも思えないんだ。現実的には、秀美と付き合った方が、実際問題としては現実的ではあると思う。ただな……。俺自身も今日子のことを諦めきれない気持ちは、今も当然あるから、だから今も大学院の試験勉強も、浮ついた気持ちのままで、全然上手くいってないし……」
そのあいまいな言葉を聞いた健は、徹也に対して、
「でもその教育学部の子は、お前に対しての気持ちは、本物なんだろう?」
「秀美か……。まあ、教育学部から研究系の大学院に入るための試験を受けるんだからね。自分の本来の学部の、例えば教育実習とかある中で、その勝負の提案をしてきたんだから、まず間違いなく本気なのだろうね……」
徹也のこの煮え切らない態度に、その秀美さんって女の子は意を決して、徹也に告白してきたんだなと、健は悟った。であれば話は簡単だ……そう健は思い、徹也に対して、
「だったらお前さんも全力を出して、真剣勝負をしたらどうだい? 今のままの浮ついた気持ちでお前さんと、その秀美さんって女の子が勝負したとしても、仮に秀美さんって女の子がお前さんに勝ったとしても、多分秀美さんって女の子は、納得はしないと思うんだ!」
健の徹也に対する言い方としては、いつもでは考えられないほどの、鋭い口調で、健は徹也にそう言った。
しかしながら秀美の決意のただならぬ強さを感じ取ったのか、徹也の大学院進学のための試験勉強は、最初はどこかおぼつかない様子であったが、これは秀美を取るか、あるいは今日子を取るかの、秀美との真剣勝負だと自分に言い聞かせた。するとだんだんと徹也自身も真剣に試験勉強に、取り組めるようになっていった。
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