第173話日本へのやり取り

 雪絵は留学中の日本への雪絵の両親や、また瞳たちへの連絡は、主にKDDIのプリペイド式の国際電話か、もしくはインターネットでのスカイプにて、行なうことになった……。


 雪絵は現地での授業は、すべて英語で行われるため、自分なりには英語が得意だと思ってはいても、果たしてそれが本場アメリカでも通用するのかと、雪絵はいささか不安ではあったが、いざ授業を受けはじめてみると、そんな心配事は徒労に終わることに気が付くのに、そうは時間はかからなかった。


 日本とカルフォルニアとの時差の関係上、カルフォルニアで午後七時ぐらいが、日本の東京でいうところの、大体午後四時近辺にあたるため、雪絵が日本にいる両親や、あるいは瞳たちに連絡を取るのは、大体そのぐらいの時間帯であった。

 瞳からは「授業についていけている?」と心配されたり、今日子からは「体調面は大丈夫?」と、これまた心配されたり……。

 正直に言って雪絵は、良い友人たちに恵まれたなと、そうしみじみと感じ取っていた。

 ただし雪絵は園里と会話をするのは、毎回のように気が重たかったが、なんだかんだ言っても、園里も雪絵のことを心配はしてくれてはいるのである。 なので、園里とも連絡を取るには取るのだが、その話題はたいていが、雪絵の体重のことについてであり、雪絵もそのことに関しては、毎回その話題が必ず出るので、多少うんざりしてきてはいたのだが、それを園里は知ってか知らずか、

「雪絵。今度こそ少しは太ったでしょうね? アメリカの寮の食事って、たしか聞いたところによると、ボリュームが結構あるみたいだから、少しは体重が増えたでしょう?」

 園里がそう雪絵に問うと、雪絵は、

「そうね……日本を出てから……五キロぐらい太ったわ……」

 五キロしか太っていない……という趣旨の言葉を聞いた園里は、

「あれだけのボリュームと不健康な食事を平気で出すアメリカにいて、いったいもう何ヶ月になるというのよ! それで五キロしか太らないの? もっとちゃんと食べなさいよ!」

 などと言って、園里は案の定というか雪絵に対して、そう言い放った。

 こうして園里とはそんなやり取りに、どうしてもなってしまうためか、やはり雪絵は園里とは、なかなか馬が合った話は出来ないのだなと、雪絵はうすうすと、そう感じ取っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る