第163話アレはもうしたの?

 とある金曜日の夜に、雪絵に園里から電話があった。その電話の内容は、

「雪絵の近況が聞きたいから、久しぶりに直接会って話をしましょう!」

 というものだった。続けて園里は、

「今度の土曜日の夜はどうかしら?私は雪絵のアルバイトが終わってからでも、別にそれでもかまわないからさ……」

 と園里は言う。そう言われると雪絵も断るに断れないので、雪絵のアルバイトが終わった後で、秋葉原のマクドナルドで、会うように、雪絵は園里と約束を取り付けた。

 雪絵のアルバイトが終わった後で、二人は秋葉原駅から一番近くのマクドナルドの前で待ち合わせをして、園里と雪絵はマクドナルドで、それぞれがセットのメニューを注文した。

 二人でそれぞれが注文したセットメニューを食べながら、園里は唐突に雪絵に、次のように話題を振った。

「ところで雪絵、重森君って彼氏と、アレはもうしたの?」

 突然園里がそんなことを聞くものだから、

「アレって……何のことよ?」

 と雪絵が聞くと、園里はさも悪気も何もなさそうに

「セックスよ! セックス!」

 と、これまた悪気も全くなく答えた。さすがは下ネタにとことん強い園里からのお言葉である。

 それを聞いた雪絵は、自分自身でもわかるぐらいに、赤面した。

「まっ……まだするわけないじゃない! バカ!」

 雪絵は明らかに赤面しながら、園里にそう返事を返すと、園里は、

「付き合いはじめてからそれだけ年月が経っているのに、シケているわね」

「別にシケているわけじゃ……」

 と言いかけた雪絵の声を無視するかのように、園里は続けて、

「あんたのその体重からして無駄にデカイおっぱい、そろそろ彼氏に揉ませてあげなさいよ」

「おっぱいを揉ませろって……あなたは簡単に言うけれども……」

 と、雪絵がそこまで言ったところで、園里は一方的に話を打ち切って、トレイを片付けに、行ってしまった。それは「もう私は帰るから……」という、園里からの無言のメッセージでもあった。

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