第116話母校の高校への報告

 その頃雪絵の卒業した高校では、雪絵の在学時の出席の状態からしたら、慶応SFC合格というのは学校の奇跡だと受け止められて、雪絵の慶応SFC合格は、あっという間に学校中に知れ渡った。

 雪絵は退院後に間をおかずに、高校三年生のときに担任だった先生に、慶応SFCの合格を伝えた。すると雪絵の担任だった先生は、

「笹森さん。辛い状況の中で、本当によく頑張ったね!」

 そう言って雪絵の担任だった先生は、雪絵のことを労った。そして雪絵が一通りの受験結果の報告を終えて、職員室を出ようとしたときに、進路指導の責任者の教師から(もちろん雪絵はその先生の名前さえ知らなかった)が、

「君が慶応SFCに受かった、笹森さんかい?」

 などとその教師は、さも下心丸出しで、そう声をかけてきたので、雪絵は正直しらけてしまい、何も答える気がなくなってしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る