第92話年末のコミックマーケットその5
待機を命じられた駐車場で、今日子は瞳に対して、
「こんなことって、コミックマーケットでは、よくあることなのかな?」
そう瞳に今日子が聞くと、瞳は、
「いや、そんなことはないよ。脅迫めいた内容の電話が、運営サイドにかかってくるってことは、ときどきあるみたいだけれど、実際に不審物が見つかるケースっていうのは、私も今回ではじめて経験したよ」
そう言って瞳は今日子に答えた。
不審物の件で安全が確認されたことと、誰がそんなイタズラを仕掛けたのかが、会場内に設置されていた防犯カメラから判明したことで、コミックマーケットは再び、再開することになった。
こうしてこんなイレギュラーな出来事は起きたものの、コミックマーケットの終了時刻までには、瞳が持ってきた新刊と既刊は、すべて売り切ることが出来たので、二人は撤収の片づけへと、入った。
片づけが終わると、瞳と今日子の二人は、更衣室でそれぞれのコスプレ衣装から、普段着へと着替えた。二人が着替え終わると、今日子が瞳に、
「今晩の夕食は、どうしようかな?」
そう聞くと、瞳は今日子に、
「今日持参してきた同人誌が、無事に全部完売したのは、キョンキョンの応援のおかげでもあるから、晩御飯は私が奢るよ。あとね、これは毎回そうなのだけれども、持ってきた同人誌が仮に全部完売をしたら、焼き肉を食べに行くのが、いつもの私の定番なんだよね!」
こうして瞳と今日子は、ゆりかもめに乗ってビックサイトから離れて、今日子の家の近くにある『三千里』という焼肉屋で、今日子と瞳の二人は、夕食である焼き肉を、思う存分に堪能した。
焼肉を食べ終わって、今日子と瞳が別れるときに、瞳が、
「次はこんなことがないように祈っているし、また夏は辛いだろうから、冬だけになるとは思うのだけれども、また売り子をお願いしても、良いかな?」
そう瞳に聞かれた今日子は「うん。良いよ大丈夫!」と言って、また手伝うよ! という意思を瞳に見せた。すると最後に瞳が、
「じゃあまた来年も会おうねキョンキョン! それじゃあ良いお年を!」
瞳がそう言うと、今日子も今日子で、
「今日は焼肉をご馳走してもらっちゃって、どうもありがとうね! 私って美味しい焼肉屋さんって、はじめて行ったから、瞳ちゃんにはもの凄く感謝しているよ! うん。また来年もよろしくね! それじゃあ良いお年を!」
今日子と瞳はそう言い合って、二人は別れた。
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