第66話今日子のはじめての家庭教師その8
今日子が知美に数学を教えるようになってから約三ヶ月が経った。なんだかんだ言っても、今日子がマンツーマンで教えてきた甲斐があってか、知美の模試の数学の偏差値が五十二ぐらいになってきたので、そこそこに実力が付いてきたなと、模試の結果を見るたびに、今日子は実感を覚えてきた。理科大の合格のデッドラインである偏差値が、五十八から六十まで十分射程圏内に入ってきたと思ったので、今日子は青チャートから教材を変更して、今日子が受験生時代に使っていた月刊誌『大学への数学』へと、教材を切り替えることに、今日子は決めた。
理科大の問題では、まず大学への数学でいう『B問題』が出たら、その問題は絶対に落とせない。そし合否の分かれ目となるのが大学への数学でいう『C問題』に、どこまで喰らいつけるかということであった。逆に大学への数学でいう『D問題』は、理科大のレベルだと、理科大を第一志望としている受験生で、解けるケースはそう多くはいないので、合否には特に関係はしないからと、とりあえず『D問題』の解説は、無視することにして、『B問題』と『C問題』の解説に、今日子は集中することにした。
「本当に安田先生は、良い問題を選びますよね」
今日子は月刊誌『大学への数学』を使って、知美に実際に問題を解いてもらって、その都度解説を入れるようになってから、本当にそう思うようになっていった。
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