第19話大学のパーティーにてその2

「突然で失礼ですが、高坂(たかさか)さんですか?」

 そう苗字をの呼び方を、間違えて呼ばれた園里は、ちょっとカチンときた様子であったが、園里はすかさずその男子学生に対して、

「私の苗字の呼び方は高坂(こうさか)よ。人の名前の呼び方は、ちゃんと間違えずに言うこと! いいわね! そうでないと相手に失礼よ!」

 園里がそう強い口調でその男子学生に言うと、男子学生は、

「ごめんなさい高坂(こうさか)さん。ところで、突然のお願いで大変恐縮なのですが、率直に申し上げますけれども、もしよろしければ、僕と付き合ってくれませんか?」

 突然に自己紹介もなくそう言われた園里は「それが常識だよ!」として、次のようにその男子学生に、聞いてみた。

「あなた、自己紹介は? それが最低限の礼儀でしょう!」

「あっ僕は『橋爪』って言います。本名は『橋爪健吾』って言います」

 それを聞いた園里は、少し安心したような表情を一瞬見せた後で、橋爪という男子学生に、こう言った。

「橋爪君、私は人を見るよ。外見じゃなくて、その人の中身……。その中身が私と合わなかったら、あるいは私の求める水準にあなたが達していなかったら、たとえ達していなくても成長してこなかったら、付き合った期間に関わらず、バッサリと切り捨てるけど、それでも大丈夫かしら?」

 するとその橋爪という男子学生は、園里にこう返事を返した。

「ええ。大丈夫ですよ!」

 こうしてパーティーの残りの時間は、園里はこの話しかけてきた橋爪という男の子と、ずっと喋っていた。

「ところでどうして橋爪君は、大学のキャンパス内で浮いている私に、話しかけてきたのかな?」

 園里がそう橋爪という学生に聞いてみると、橋爪からは、

「なんか高坂さんって、いつも大学内でロリータファッションを身に着けていて、それがまるで西洋のお人形さんみたいで可愛くって、いつかお話し出来るチャンスがあったら、高坂さんと一度お話をしてみたいと、前々から思っていたのですよ」

 それを聞いた園里は、橋爪に対して、

「あら、そうだったの……」

 と答えるなどといった、二人が話していた内容は、別に特段面白いものでもない、たわいもないことが中心ではあったが……。

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