第158話映画『バトルシップ』を二人で観に行く
雪絵がリボンを付けるようになってから程なくして、重森から、
「ユッキーさん。今度『バトルシップ』って映画が公開されるのだけれど、また一緒に観に行ってくれないかな?」
そう、雪絵は重森から誘いを受けた。
(この前はアニメだと思ったら……今度は戦艦の映画を観に行くお誘い?)
バトルシップ……つまりは戦艦。雪絵にとっては完全に専門外というか、興味のない分野である。
その誘いに対して、雪絵はあまり乗り気ではなく、一瞬戸惑いの表情を見せたが、すぐに、
「いいよ……いつ観に行く?」
と、雪絵はあえてそのように答えて、その誘いを承諾するしかなかった。
ちょうど3Dの映画が増えはじめていた頃に、そのバトルシップという映画は2Dの映画なので、目の調子もきっとこの前の、魔法少女リリカルなのはを観たときのように、悪くなることはないだろうと思い、また2Dなので、雪絵の障害者手帳を使えば、二人で二千円、一人分千円で見れるので、雪絵は戦艦には全く興味が無かったが、重森のお誘いを受けることにした。
上映劇場は、錦糸町のオリナスという建物の中に入っている、TOHOシネマズ錦糸町で、上映しているというので、そこで観ることにした……。
ただ実際に重森と一緒に映画を観てみると、最後の方の戦艦ミズーリの砲撃シーンに、胸が熱くなるなど、雪絵にとっても収穫が、全く無かった映画ではなかったのだが……。
(まあでもやっぱり男の子って……観ていて胸が熱くなるようなシーンのある映画って……きっと好きなのだろうな……あとやっぱり戦艦って……男の子にとっては……憧れだったり……あるいはロマンだったりするのかな?)
ただ雪絵はそう考えて、自分自身を納得させた。
映画を観終わった二人は、映画館が入っている建物のフードコートで、夕食を食べることにした。
たださすがの雪絵も、こういう誘いには飽き飽きしかけていたのか、
「私の中学のときの同級生に……こういう映画が好きな友達がいるから……その子を紹介しようかしら?」
と、瞳を紹介するつもりで重森に言ってはみたが、重森は、
「いや、遠慮しておくよ。俺こういった映画って、ユッキーさんとだから、一緒に観たいって気持ちになるのだよね」
と言って、あっさりとはぐらかされてしまった……。
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