第86話雪絵の大腸内視鏡検査その3

 主治医の出井先生は、そう雪絵の質問に答えた。

 こうして雪絵の内視鏡検査は、無事に病変などの異常も見つからずに、なんとか終わることが出来た。主治医の出井先生が内視鏡を抜き終わると、

「空気を抜きながら内視鏡を抜いたし、それと内視鏡で大腸の曲がりも治しておいたから、少しは便通も良くなると思うよ。でも完全には大腸の中の空気は抜けきれていないから、術着から着替え終わったらよくおならをして、大腸の中の空気を抜くようにしてね。そうしないと、お腹が痛いままになってしまうからね」

 そう主治医の出井先生から言われた雪絵は、検査のベッドの台から降りて、

「今日は……どうもありがとうございました……」

 と主治医の出井先生にお礼を述べる。

「今日はお疲れ様。じゃあまた次の外来の際ね!」

 主治医の出井先生からそう言われた雪絵は、再度お礼のお辞儀をしてから、内視鏡の検査室を出た。

 しかし内視鏡を抜くときに、空気は抜いたはずではなかったのだろうか?(あっ……お腹が急に……痛い!)

 検査終了後、雪絵は着替えをする更衣室にて、猛烈な腹痛に襲われた。原因はもちろん、空気が大腸の腸管に残ったままだからだ。だがおならをしろと主治医の出井先生から言われていたのだが、そう簡単にやすやすとおならは出せるものでもない。こうして雪絵は猛烈な腹痛に耐えながらも、なんとか新宿の歌舞伎町のその病院から、自宅へと帰った……。

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