第84話雪絵の大腸内視鏡検査その1

 園里と今日子が、雪絵の働いているパソコンショップにやってきて、実際にパソコンを買いに来た、この一件から少し日が空いた後で、雪絵が生まれてからはじめての、大腸内視鏡検査の日がやってきた。

 検査の前夜はいつもより早く寝て、寝る前に『ラキソベロン』という白い小さなボトルに入った液体の下剤をボトル丸々全部、オレンジジュースに溶かして飲んで寝た。夜中に二回便意で目が覚めてトイレに行く。検査前までに何回トイレに行って、その都度の大便の出はどのぐらいだったのかを、病院に来たときに、指定された紙に記述しないといけないからだ。

 さて雪絵が実際に病院に着くと、そこには既に、病院の検査前の待合室には『ニフレック』という、腸管を空にするために飲む二リットルの下剤が用意されていた。園里から、大腸の内視鏡検査をするときは、事前にアクエリアスかポカリスエットのどちらかを、ペットボトルで二本用意するように! と言われていたので、雪絵はアクエリアスを病院に行く前に、自宅の近所のコンビニで買って、下剤を飲んだら口をすすぐようにして、アクエリアスで下剤を流し込んでいった。

 ニフレックを飲みはじめてから三十分後ぐらいからだっただろうか? 雪絵は便意を感じはじめた。そしてこの作業はとにかく苦痛を伴う。下剤を時間に合わせて飲みつつも、トイレに何度も行っては便を出し、また下剤を飲む……。トイレを出るたびにとにかくトイレットペーパーでお尻を拭くために、段々とトイレットペーパーでお尻が擦れてきて、お尻が痛くなる。

 雪絵はそれらを何とか乗り切って、午後一時から実際に、大腸内視鏡検査がはじまった。

 お尻の部分に内視鏡が通るような穴の開いている、使い捨ての術着に雪絵は着替えて、内視鏡の検査室へと入る。主治医の出井先生はニヤニヤした表情を見せながら、

「上手く下剤が効いていたら、綺麗な腸管も腸壁が見れるよ!」

 などと雪絵に言ってきた。それを聞いた雪絵は、

(あっ……この先生変態……)

 などと、雪絵は尊敬していた主治医の出井先生に対して、はじめて呆れるように、そう思った……。

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