第71話園里のもてなしは大量のうどんその1

 とある日の夜、雪絵がもう眠ろうとしていたときに、雪絵のスマートフォンに、着信が入った。電話先の相手はどうやら、園里からのようである。

「雪絵。明日の夜って、あなた空いているかしら?」

 寝ようとしていた雪絵にとって、園里からの突然の電話は、この上ない困惑の、格好の材料であった。

「空いているけど……どうして? 急に突然……」

 そう雪絵がおそるおそる聞いてみると、園里は、

「晩御飯をご馳走するから、明日の夜にうちに来なさい!」

 それを聞いた雪絵は、園里に、

「なんでよ……また急に……」

 そう雪絵は園里に言いかけたのだが、

「いいから来るの! じゃあまた明日ね! 決して逃げないようにね!」

 そう園里に押し切られて、電話は園里から一方的に切られてしまった。


 次の日に大学のすべての講義が終わって、園里の家に行く雪絵の足取りは、何か足に重りでも付けさせられているかのように、足取りは重たかった。

(いったい……私は園里の家で……何を食べさせられるのだろう……)

 そんなことを考えているうちに、雪絵は園里の自宅へと、着いてしまった。

 雪絵は意を決して、園里の家のインターホンを鳴らす。そのインターホンの音を聞いて家の玄関から出てきて雪絵を出迎えた園里は一言、

「雪絵。よく逃げずに、ちゃんとやって来たわね!」

 と言って、そして雪絵の髪形を見て、園里は続けて、

「髪の毛はちゃんと今もセミロングで整えているのね。よろしい!」

 園里はそう褒めたように言ったのだが、園里の雪絵に対するお褒めは続かなかった。園里は続けて、

「雪絵って相変わらず今も痩せているのね。雪絵ってさ、今あなた体重何キロあるのよ?」 

 園里からそう問われた雪絵は、

「三十……」

 と言いかけた途端に、園里が怒った口調で、

「その身長で体重がたったの三十キロ? 雪絵あなたさ、バカじゃないの!」

 その怒った園里の一言を聞いた雪絵は、

(三十八キロよ……バカ……)

 と心の中で思ったが、園里は多少は憤り気味に続けて、

「雪絵! そんなに痩せていて、BMIはちゃんとあるの?」

 BMIという、雪絵は聞いたこともないような専門用語を、園里は言葉に発した。それを聞いた雪絵は一言、

「BMIって何? そんな単語……私は知らないわよ……」

 とだけかろうじて園里に言ったが、園里は雪絵のそんな言葉など知ったこっちゃないといった様子で、

「まあいいわ。今日はあなたのために、夕食に付き合ってあげるからね。炭水化物がたっぷりの料理で、雪絵、あなたをもてなしてあげるわ!」

 そう言って園里は、雪絵を家の中へと入るよう、促した。

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