第54話ビリヤードとダーツ

 徹也はダーツとビリヤードの違いについて、次のように話した。

「ダーツはかなり確率は低いけれども、同じ的の場所に矢が刺さる可能性はゼロじゃないのね。だけどビリヤードはブレイクしたときに、過去のブレイクと全く同じ玉の配置に、すべての玉がなることはまず間違いなくないのね。まあこの辺の話が、ビリヤード派とダーツ派の意見の食い違いになる点でもあるし、ビリヤードとダーツを両方設置している店で、よくビリヤード派とダーツ派の喧嘩がたまに起きる原因になっているのね」

 そこまで徹也が話すと、徹也と秀美は再びビリヤードの台に戻る。徹也が、

「上手く突けたときの感触ってやつを、覚えておくと良いよ。たいてい『コツンと突いた』ときに、上手くいくことが多いってことに、そのうち気付くはずだから……。無意味に力んで突いたときっていうのは、たいていが上手くはいかないものだったりするのね」

 秀美が『型』を崩して突こうとしたのを、徹也は見逃さなかった。

「体が『型』を覚えるまでは、律儀にいちいち型から入って、突いた方が良いと思うのね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る