第15話 おじいちゃんの世界の人達の秘密

 「うわぁ。びっくりした」

 光が納まると同時に驚く声が聞こえ目を開くと、おじさんとアメリアさんがいた。いつのまにか本の中から出て戻って来たみたい。

 「ずいぶん出てくるの早いんだな。消えたと思ったら一分ほどで戻るなんて……」

 皆を見渡しおじさんが言った。一分? おじいちゃんが言っていた通り時間の流れが違うのね。

 「一分? いや、俺達一時間ぐらい居たと思うけど……」

 「本の中と現実とは時間の流れが違うのだ。すごいだろう?」

 「すごいだろうじゃなくて! 父さん! もう子供達を巻き込むのはやめて下さい!」

 私達がおじいちゃんの言葉に頷いていると、おじさんはそう訴えた。

 「そう思うのなら本の事を言わなければよかっただろうに」

 それにおじいちゃんはつらっと答えている。

 うん? あれ? おじいちゃんって今、お兄さんになっているけどわかるんだ! じゃおじさんはおじいちゃんの正体を知っていたの!?

 「おじさんは、この人がおじいちゃんだと知っていたんだ!」

 「そりゃ知ってますよ。これが父さんの本来の姿です」

 「お待ちになって? では、おじさまよりおじい様の方が若いって事になりますの?」

 それ、私も気になる! どう見てもおじいちゃんの方が若い!

 「それはな。誠も魔法で歳をとっているように見せているからだ。私の世界の人間は、地球人と寿命が違うようだ。我々は、二十代ぐらいまでは地球人と同じペースで見た目は進むがその後はずっとその容姿を保つ。そして死ぬ間際になって老けていくのだ」

 私達四人はおじいちゃんの説明に目が点になった。凄い話を聞いた。不老不死みたいなもんだよね? 寿命がどれくらいかしらないけど……。いや、おじいちゃんって本当は何歳?!

 「あ、えっと。じゃ、お父さんも本当は見た目二十代なの?」

 おじさんはハル君の質問に頷いた。

 「父さんに魔法をかけてもらって、わざわざこの見た目にしている」

 「ちょっと待てよ! 俺の母さんがあんなに若く見えるのって若作りしている訳じゃなかったのか!!」

 カナ君がそう叫んだ。

 そっか。カナ君のお母さんはおじいちゃんの娘。女性だし老けたくないよね。

 「なんか、羨ましいですわ」

 マリアさんがボソッと呟いた。

 寿命は兎に角、死ぬ間際まで見た目二十代でいられるなら確かに羨ましいかも。

 「あの……すみません……」

 アメリアさんがすまなそうに私達に声を掛けて来た。

 忘れていたアメリアさんもいるんだった……。

 「私はアメリアと言います。リアムさんですよね?」

 「そうだが。そうか、あなたがリードを? しかしそのマントの色は……どうしてここに?」

 アメリアさんが訪ねるとおじいちゃんはそうだと答えるも驚く。しかも来ている服の色で……。

 「お願いがあって伺いました」

 真剣な目で見つめて言った。

 「なあ、おじいちゃん。服の色って何か意味あるのか?」

 カナ君が私達の聞きたい事聞いた。

 「私の世界では、外の世界を周る訪問者の役割を持つ者は、体を覆うマントが緑色なのだ。つまりそれ以外の者が外の世界にいるのは稀だ」

 「じゃアメリアさんを追っていた男の人って訪問者? おじいちゃんも? あの人、悪い人じゃなかったんだ!」

 おじいちゃんの説明を聞いて、ハル君がそう言った。

 知り合いかどうかはわからないけど、同じ世界の人間同士で、あの男の人は服の色を見て追いかけていたのかも。

 「ごめんなさい。騙すつもりはなかったのですが、どうしてもリアムさんに会いたくて。あなた達についていったら、精霊の本が出て来たので……」

 「もしかしてリードを申し出たのは、おじい様に早くお会いになる為でしたの?」

 マリアさんの質問にアメリアさんはそうですと頷いた。

 「随分と協力的だとは思ったが……」

 そう言いながらおじさんは、私達を庇う様に前に出た。

 「利害た一致しただけです……」

 「なるほど。で、用件は?」

 「父さん! もう少し考えて行動して下さい。子供達が危ない目に遭うところだったのですよ!」

 「何を言っている。危ない目に遭わせたのはお前ではないか。この者に精霊の本を見せたのだろう?」

 「そ、それは……」

 「それに危害は加えられていないのだろう? 外に出たことがない者がここまで来たのだから余程の事なのだろう」

 「………」

 分配はおじいちゃんに上がったようです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る